なので「一度、実写女優キャラに、萌え二次元キャラのレイヤーを被せることで、フィギュア化しやすく、似せやすく、ある種のイマジネイションフィギュアとして展開しやすい」は有効な選択肢であり、目の付け所は悪くなかった。
さて、今回紹介するフィギュアは、二つともそのバンダイが、2000年代中盤以降に、一時期だけ展開していた「ガールズインユニフォーム」から、『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)の、敵味方究極女性キャラを紹介したい。
まず最初は、サンバルカン第29話『美剣士白バラ仮面』に登場する「白バラの剣士」のフィギュアである。
周知の如く、サンバルカンは男性三人の戦隊なので、歴代で唯一「女性戦士枠」がない。
一応レギュラーの女性として、岸田森氏演じる嵐山長官の娘の嵐山美佐(演ずるは根本由美)が、長官の秘書をやりつつ事件に巻き込まれたりする立ち位置キャラとして機能するのだが、元々フェンシングの達人という設定があって、「白バラの剣士」とは、第29話において、敵組織ブラックマグマが送り込んできた「赤バラの剣士」(演ずるは、後の『宇宙刑事シャイダー』(1984年)で女宇宙刑事アニーを演じて一気に特撮ファンのアイドルになった、森永奈緒美氏の実質デビュー)との戦いで、女同士の決戦を繰り広げるためにまとった仮の姿であり、それがフィギュア化されたのである。
プレイバリューとしては、白仮面が取り外し可能で、仮面をとった美佐の顔も、しっかり作りこまれてるところだろう。
「白バラの剣士」は、シリーズVOL.3になるが、他のラインナップは以下のようになる。
白バラ仮面・嵐山美佐(太陽戦隊サンバルカン)
ファラキャット(超電子バイオマン)
コロン(超獣戦隊ライブマン)
今村みく(電磁戦隊メガレンジャー)
胡堂小梅(特捜戦隊デカレンジャー)
宇崎ラン(獣拳戦隊ゲキレンジャー)
バンダイ公式ページより
造形の方向性としてはアニメ漫画テイストが強すぎるが、元の女優さんの雰囲気は巧く落とし込んである造りであって、サイズも意外とSHODOサンバルカンと並べても違和感は少なく(美佐の方がアニメプロポーションなので、若干頭部が大きいが)、今手に入るサンバルカンアイテムとしては、数少ないレギュラーキャラの立体物なので、今回は貴重な紅一点枠として、並べるために揃えてみた。
特撮ヒロインにこの作風は、賛否両論があると思うが、シリーズが2010年代まで続かなかったことが、一つの回答と言い切れるのではないか。
また、この「特撮ヒロインをアニメアレンジでリデザインしてフィギュア化する」というコンセプトは、権利元を円谷プロに鞍替えして、商品名も「空想特撮少女図鑑」としてウルトラ系にも手を広げたが、やはり商品群は「〇〇(防衛軍チーム名)隊員」形式で、しかも第二弾でいきなり「ウルトラ宇宙人の萌え擬人化キャラ」を入れてくるという迷走ぶりで、そのまま立ち消えていったシリーズなので、如何にこの時期「特撮の女性キャラのフィギュア化」へバンダイが迷走していたかが、よくわかる歴史がそこにあるのだ。