『ウルトラセブン』『あなたはだぁれ?』より

――自分は去年(2007年)、山際永三監督とお話をさせていただく機会があったんですが、その時山際監督もやはり、本音の部分で言えば、ウルトラマンを撮っていても、変身しちゃったらもうおしまいっていうフォーマットは、演出家としては面白くないというような発言をされておられました。やっぱり、ファンの夢を壊しちゃいけないとかという建前があったとしても、演出家としては本音で言えば、出来上がりのフィルム全てに対して、自分の表現で通したいという思いは、皆さんおありになってたんじゃないかなと思います。

安藤 その通り!

――でも、ウルトラマンと怪獣の格闘がメインの作品では特撮班が優遇されて、例えば本編のドラマ表現で、尺をもう少し欲しいから、特撮を切って欲しいと思うケースがあっても、それはやっぱり聞き入れられないもんでしょうか。

安藤 (特撮は)お金がかかってるからねぇ。当事セブンの頃は、昼メロが1本130万円、普通の30分ドラマが倍の240万くらい。なのにセブンは520万ですよ、あの当事。だから要するに、予算が全然違うわけね。なんでそんな予算がかかるかっていえば、特撮があるからなんだ。で、特撮ってのはどう見たって3分か4分じゃないですか。奴ら鼻息が荒かったのは、そういう背景があったからなのよ。だけど僕に言わせたらさ、やっぱりテレビや映画っていうのはドラマが主体になるべきで、その中に、当然子どもが喜びそうな特撮っていうのはさ、必然的に入ってこなきゃあかん。だから、特撮部分に本編が振り回されるようなことがあっては絶対いかん!

『ウルトラセブン』『あなたはだぁれ?』より

『ウルトラセブン』で特撮、子ども番組の世界に飛び込んだ安藤達己監督。そこで待っていたのは「円谷プロ」という、栄光も闇も、伝説も矛盾も抱えた一つの家庭式企業でした。次回「安藤達己と上原正三と実相寺昭雄と」さぁみんなで読もう!

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