ガボラ・ひれ開き

クライマックス、まるで歌舞伎の早代わりのように、その特徴的なひれを開いて、ネロンガタイプの本当の顔をあらわにしたガボラ・ひれ開きVerは、バンダイの旧ウルトラ怪獣シリーズでは発売されなかったので、今回は、70年代後半に旧ポピーが展開していた、キングザウルスシリーズのガボラを使って撮影演出を行った。

本来であれば、演出上の統一感を考えれば、ひれ開きVerもやまなやの怪獣郷ガボラを使用すれば良かったのかもしれないが、今回キングザウルス版を使用したのには、いくつか事情と理由があったりする。

まず、ガボラひれ開きVerに関しては、怪獣郷版は当初からあまり候補には入れてなかった。

怪獣郷のガボラは、当然のようにひれ閉じVerとひれ開きVerが、同じボディで頭部だけを換えることで製品として成立している。

もちろんこれは当然のことだし、むしろ「分かってる」製品仕様だろう。

ただ、劇中でのガボラは、ひれを閉じた状態では四足歩行する怪獣だが、ウランを追い求めてついに怒り狂ってひれを開き、頭部を露出させて暴れ始めてからは、基本的に二足歩行状態で活躍する。

そうなると、怪獣郷の四足歩行状態では、演出にそぐわない仕様になってしまう。

以上の理由で、まず怪獣郷のひれ開きVerガボラの使用は断念した。

次に考えたのが、カスタムによってガボラを再現することだった。

ガボラはご存知の通り、東宝怪獣のバラゴンをベースに、『ウルトラQ』(1966年)のパゴスを経て、ネロンガに改造された経緯がある。

ガボラはそのネロンガを小改修した怪獣であって、頭部などは角と触覚を除けばほぼそのままに、ひれだけを付ければガボラになるのである。

そしてまた、現行バンダイウルトラ怪獣シリーズには、歴代で一番出来の良いだろうネロンガのソフビがあるのである。

要はそのネロンガの角と触覚を取り除き、特徴的なひれを造形して貼り付けて、塗装を施すだけで、ガボラが再現できるのではないかと考えたのだ。

今までおこなってきたカスタムと比較しても、作業量や必要スキルはそう難関でもなさそうなので、さて、ではひれを造形する材質を何にしようかなどとしばらく悩む日々が続いていたのではあるが、そんな矢先に、まるで出会い頭のようにキングザウルスのガボラをヤフオクで見つけ、ためしに小額で入札してみたところ、驚くほどの安価で落札できてしまったという幸運が舞い込んできた。

手に入ってしまったのであれば、何も苦労してカスタムをする必要もない。

そういう筆者特有のズボラさもあり(笑)、ひれ開きVerガボラは、キングザウルス版で演出することになった。

さて、そんな経緯でひょっこり入手してしまった、キングザウルスガボラであるが、出来の方はと言うと、なかなか良し悪しをつけずらいアイテムであったりする。

最終的には好みの問題が大きいのであろうが、まずはその、キングザウルス特有のザラつきディティールが、気になるかならないかで評価がはっきり分かれてくるのだと思う。

そして、全体的な造形レベル。

一言で切り捨ててしまえば、背中の形状や体表モールドなど、明らかに「間違っている部分」も多い。

しかし、その迫力ある表情や、その表情を際立たせている(この時代、この頃の技術では驚くべき)、「歯が一本一本ちゃんと型から抜けている」という部分は、これは実は、現代のバンダイソフビのネロンガよりも優秀な部分でもあり、『光の国から愛をこめて』では、UP演出に充分耐えられるクオリティを誇っている。

ネットを見回っていると、キングザウルス収集家の間では圧倒的に評価が低いガボラだが、写す角度次第によっては、本編中の実物の迫力をしっかりと伝えてくれる好アイテムであると、筆者は思っている。

今回は、このキングザウルス版ガボラを、無改造・無塗装で演出に使用した。

第三期ウルトラブームの頃の、70年代終盤のポピーのガボラと、現代の第三メーカー・やまなやのガボラ。

2種のガボラのそれぞれの魅力が伝わっていれば幸いである。

科学特捜隊専用車

科学特捜隊が地上移動に使用している科特隊専用車は、バンダイが展開しているHGガシャポンシリーズの「HGウルトラマン part13 新たなる光編」でリリースされた、「科特隊専用車&特殊潜航艇S号」の科特隊専用車を使用した。

一説によると、円谷スタッフの私用車だったシボレーコルベアを、ステッカーを貼るだけで演出に使用したと言われている科特隊専用車。

ウルトラシリーズ初の防衛隊専用車両であるにもかかわらず、ポインターのような派手さがなかったためか、初放映から数十年、立体化の機会には恵まれてはいなかったが、90年代以降ようやくこの車両の存在にもスポットが当たるようになり、バンダイからは1997年に、ポピニカブランドからビーグル5という商品名で、マットビハイクルやポインターなど、他のウルトラ車両などと共に立体化されたりするようになった。

一方、バンダイのHGガシャポンでも、怪獣の合間を縫うような形で、Part5辺りから、ホーク1号・ジェットビートルなどが立体化され始め、それは段を重ねるたびに、マグマライザー・小型ビートルなど

マイナーメカまで立体化されるようになっていったが、ついに13段で、特殊潜航艇S号と共に、科特隊専用車がリリースされることになった。

出来はといえば、その小さいスケールということもあり、また材質がPVCということもあってか、それなりの域を出ないレベルではあるが、まずは安価でメジャーメーカーから科特隊専用車のアイテムが出された事実を喜びたい。 『光の国から愛をこめて』の『ウルトラマン』演出では、地上出動シーンやパトロールシーンでは、このアイテムがしばらく活躍することになる。

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