被差別者と子どもと怪獣と

宮田達男

満田かずほ

高野宏一

「空飛ぶ円盤かしら?」

「まぁだいたいそんなとこね」

「イサム君、これきっと魔法の石よ」

「うん、もしかしたら自分の欲しい物になる魔法の石だよ」

「空のかなたから落ちてきた不思議な石は、ホシノ少年の手によって、ただちに科学特捜隊に届けられた。そして、科学特捜隊から科学センターに回された不思議な石は、山本博士があらゆる方法で分析していった。そしていよいよその結果が発表されることになった。……だが!」

「発表いたします。少年たちが発見した石は、地球上には存在しない、まったく、未知の元素の化合物であることが分かりました。現在私が言えることは、生物の能力を持った鉱物、そのような言い方しかありません。つまり生きている石、とでも言いましょうか。皆さんはテレパシーというのをご存知でしょう。この石は、人間のテレパシーを受けることが出来る石なのです。そして、人間の心のままに自由に姿を変えるのです。ですから、使い方によっては大変恐ろしい石であるということが出来るでしょう」

「ふはははは。これさえあればもう俺の思いのままだ。お金だって何百万でも何千万でも手に入るんだ。ご馳走だってこんなにたくさん食える! あ……そうだ! みんなにいたずらをしてやろう! さぁ! 怪物になるんだ! 怪物になるんだ!」

「そうだ! そうだ! その調子だ! わはははは! 石よ! 石よ! 今度はもっと大きなギャンゴになれ! こんな大きなギャンゴになるんだ!」

「うぅん……これは大変なことになってしまったぞ。この男が気を失ったとたん、この男の悪い心が、そのまま怪物に乗り移ってしまったに違いない」

「……じゃあ怪物はずっと消えないで……」

「うん……この男が意識を取り戻して、怪物のことを忘れてくれなければ……」

「うわぁああっ!」

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