ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。

ティターンズの精鋭、ブラン・ブルダークのアッシマーが、シャアの百式を襲う!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、 再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回紹介するのは、『機動戦士Zガンダム』(1985年)に登場した、円盤型の飛行形態からモビル・スーツへと変形する、アッシマーのHGUC版です!

アッシマー 1/144 HGUC 054 2005年6月 2000円(機動戦士Zガンダム)

変形後状態を背景に、モビル・スーツ形態でガッツポーズを決めたアッシマーのボックスアート

「登場した時は“空飛ぶ円盤”つまりUFOだが、戦闘時には変形して怪物になってヒーローに襲い来る」と書くと、大河さんの年齢ではどうしても、『ウルトラマンレオ』(1974年)後半の「円盤生物」か、『UFOロボ グレンダイザー』(1975年)の「円盤獣」を思い出してしまう。
70年代中盤には、オカルトブームと共に「UFOブーム」というのが実際にあって、特に何かのフィクションに帰属しない「(主に欧米の)実話で目撃された」とされる「空飛ぶ円盤」が、テレビでスペシャル番組が組まれたり、それだけを扱った児童向け書籍が売れたり、中嶋製作所やタカトクトイス等から、アダムスキー型だの葉巻型だのといった「空飛ぶ円盤の合金トイ」が(それらは著作権や版権がなかったので)玩具売り場をにぎわしたりした時代がそこにあった。
ピンクレディー『UFO』なる昭和史記録的ヒット曲が生まれたのも、そんな1977年のことだった。

ガンプラの、しかも1985年の『Zガンダム』登場のモビル・スーツの解説で、なんでこんな70年代の話題から入るかというと、それはやはりこのアッシマーなる兵器の変形と運用が、上記した「円盤生物」や「円盤獣」の80年代ロジカル版に、当時から見えて仕方がなかったからなのだ。

再現画像より。海上を荒波立てて突き進んでくる円盤獣、もといアッシマー

まぁもっとも、富野監督が『ウルトラマンレオ』だの『UFOロボ グレンダイザー』だのを、80年代中盤になって模倣する理由も意味もなく、10年遅れでUFOブームに乗っかる必然もないので、これはあくまで筆者の個人的記憶に沿った連想でしかない枕だったのだが。
しかし、逆を言えばこのアッシマーというデザインは、既存のモビル・スーツとは絶対に被らない、むしろ当時やっきになって「飛行形態からロボットへ変形」に拘っていた、サンライズ富野アニメも『超時空シリーズ』も『トランスフォーマー』も、誰も気づかなかった「コロンブスの卵」的な発想にまみれた変形概念で構築されているデザインである。

アッシマーの、モビル・スーツ形態完成状態

なにせこのアッシマー。前例がどれだけなかったかといえば、このデザインをして「ガンダムシリーズの敵メカだ」と思わせられる要素は、頭部のモノアイとモノアイカバーが「なんかドムっぽい」しか見当たらず、むしろここで頭部(顔)のデザインを変えてしまうと、もはやそれこそ「リアルタイプ円盤獣」にしか見えなくなってしまうのである。

アッシマーの飛行形態完成状態。モビル・スーツ時の装甲から変形の予想は付くが、意外と細部まで煮詰められている合理的な変形機構をもつ

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