ミクラス

ミクラス セブン版 1983年

リペイントした、セブン版ミクラス
個性が出るサイドビュー
意外とディテールが多いリアビュー

さて、ウィンダムと同時にシリーズ第一弾で発売されたミクラスであるが、ミクラスの場合は、塗装で損をしてるだけではおらず、本来のセブン版着ぐるみの特徴の、2.5頭身的なシルエットや、巨大な角が見る者にインパクトを与える異形性が削られる方向で造形されていて、そこは基本的に残念な印象を受ける。
だからこそ、メビウス版が「ミクラスのソフビの決定版」の座に着いたわけだが、詳しくはメビウス版で解説するが、やはりメビウス版をセブン版のミニチュアとして、再現特撮で使ったのは、セブン版ソフビの出来が酷かったとしても、そちらを使った方がよかったかもしれない。
さらにいうなれば、じっくり向き合ってみると、セブン版もそんなに酷い出来ではない。
上半身にバランスが集中しているデザインのため、下半身を1パーツで抜き、両足が固定になっているのは、後のメビウス版も同じ。なので嵌着可動も、ウィンダム同様の腕回転に、腰の回転が増えた程度である。

塗装前の商品状態
角が前だけ塗られているサイドビュー
グリーンのスプレーが吹かれるリアビュー

一目見た時にはガッカリ感が強いかもしれないが、メビウス版を見慣れた後になってから手にしても、その「コワモテな顔つき」は、セブン版としてはリアリティを感じる。
第一印象で「損をしてる」と一番思ったのは、「角が小さい」ことと「腕の付き方がロボット的」なところ。

前者に関しては、歴代の、マルサン、キングザウルス、どれもさすがに、着ぐるみの角のボリュームを再現するには至らなかったわけであり、1983年製で突然、シルエットがリアルになっていたら偉業を越えていたと思われる。
ただし、腕の付き方だけは、直前期のキングザウルス版の方が少しマシなほど。
だが、造形レベルは歴代では決して悪い方ではない。
それだけ、ウィンダム以上に、メビウス版ソフビのミクラスが、「ミクラスらしいバランス」を再現し尽くしていたからであろう。
二種のミクラスソフビを並べてみると分かるが、メビウス版の頭部はセブン版の頭部の倍は違うサイズ差である。

セブン版の着ぐるみ。配色がかなり複雑なのも見て取れる

問題は、やはり塗装であろう。
今回入手したセブン版ミクラスは写真の物だが、時代としては明らかに、先ほどのウィンダムよりも時代が古い商品バージョンだと思われる。

塗装的には、元々色数が多い怪獣であり、着ぐるみの彩色の複雑さもあるので、ある程度のところまでしか期待はできないが、まず言えることは、茶成型のボディがミクラスらしいといえばリアル。
商品塗装は、目玉と瞳と牙だけはマスク塗装だが、4本の角は、ベースの白ですら前面にしかスプレーが吹かれておらず、赤は吹かれてるのかいないのかがわからないレベル。
目立つのは、体の各所に吹かれたグリーンのスプレーワーク。
多分映像を参考にせず、撮影会の時のクランクイン前のスチルか、ブルマァクのソフビを参考にしたのだろう、よだれかけのような顎の下の葉っぱのようなパーツに、くっきりグリーンが吹かれている。

ブルマァク版のミクラスソフビ


今も書いたように、セブン版ミクラスの着ぐるみは、クランクイン前の撮影会では葉っぱはグリーンだったが、その後グレーともブラウンともつかない、あやふやな色に塗り直されていて、むしろ葉っぱパーツの端の方だけグリーンが残っている状態。

セブン版ミクラスのアップ。鼻の穴が赤いのはともかく、決してゆるキャラには見えない


あと、全身のインカ帝国みたいなジグソーパズルピースのようなディテールは、着ぐるみだと淡い茶色が塗られているが(ここは、メビウス版ソフビの方では、しっかり塗り分けられている)、セブン版では、ディテールの数こそ背面にだけいくつかと、少ないが、それらがご丁寧に全部グリーンが吹かれている。
元々の、セブン版のミクラスは、全身の随所に細かくグリーンが吹かれていることは調査で分かるのだが、セブン版ミクラスは、ことごとく「グリーンを吹いちゃいけないところ」にしか吹かれていない。
なので、胸の葉っぱとウッドブラウンで、背中のグリーン箇所を中心に艦艇色でリペし、艦艇色は、そのままボディ前面にもドライブラシをして、全体の茶色感を多層構造にした。パズルピースディテールもダークイエローで塗り直し。
手と足の先にもグリーンは吹かれていて違和感なので、、ここは軽くニュートラルグレーを吹いて誤魔化す。
その上で、角のグリーン等はデイトナグリーンで塗らなければいけないのだから理不尽過ぎる(笑)
頭部の塗装はウィンダムと真逆で困難を極めた。
まず額部分をニュートラルグレーで塗り、その中に、デイトナグリーンとモンザレッドで点描を描き加える。
唇をピンクで塗り、眼の瞳をインディブルーで塗り直した後は、口中、目の周りのリング、鼻の孔、ボディ両脇と両肩をモンザレッドで塗り、なんとかセブン版のミクラスの体裁を整える。
ここまでをベースに、4本の角だけ光沢で、全体に艶消しを吹いて完了。
腕を可動させて、前方へ向けて突き出させれば、肩の違和感も解消されて、結構絵になるかもしれない。

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