古代から蘇ったミイラ人間とドドンゴ。
そして、その数奇な運命を受け止めるウルトラマンという図式の本話は、序盤をHGガシャポンフィギュアを実景バックへの合成で再現し、クライマックスを、青空背景・草原土台・緑山セットでの特撮で再現した。
序盤はHGガシャポンのミイラ人間を撮影。
ミイラ人間は少しでもリアリティを出すために、全カットで目をフォトショップで光らせてある。
目覚めたミイラ人間が迷い込む下水道設備は、撮影したフィギュアを実景に合成することで表現。
目からの怪光線はフォトショ描画。
ミイラ人間にとどめを刺すスパイダーショットの描画は、スペシウム光線のバンクを加工して使ってみた。
山から現れるドドンゴ。
ドドンゴソフビは、後述するが顔が上を向いた状態で造形されており、したがって、顔が正面を向かなければいけないカットなどでは、画像を切り貼りして加工して作成している。
ドドンゴが攻撃する炭鉱は、工業地帯ミニチュアをそれらしく配置して表現。
ドドンゴが目から放つ怪光線も、ミイラ人間のと同じものを使用。
ウルトラマンが登場してからは、いつものように、移動ブレぼかしや土煙、爆炎などをフォトショップで処理している。
スペシウムで絶命するドドンゴ。
この回のラストショットの撮影では、筆者も少ししんみりした気分になった。
ドドンゴ
ドドンゴは、バンダイの旧ウルトラ怪獣ソフビシリーズのドドンゴソフビを使用した。
ドドンゴは、その発売時期が1994年という、一番旧作怪獣が、意欲的に発売されていた時期の商品だけあって、造形も塗装もかっちりとした堅実な出来。
二人のスーツアクターが作る独特のシルエットを、見事に再現している。
しかし、筆者的にたった一つ疑問があるのが、そのドドンゴの首の上向きさ加減。
いや、確かに作中のドドンゴも、頻繁に上を向いていたわけだし、この角度の方が躍動感も出るだろう。
普通に前を向いていたら、それこそ木彫りの馬のお土産になってしまうというのも、それはそれで良くわかる……のだが。
実はこの「首の上向きさ加減」なのだが、『ウルトラマン』(1996年)放映当時に、マルサンから発売されていた、その頃のスタンダードソフビの、ドドンゴの首の角度に瓜二つなのである。
これはひょっとして、当時のソフビへのオマージュなのだろうか?
実はそのマルサン製ドドンゴソフビ。当時のマルサンソフビの中では、トップを争うほどの素晴らしい出来なのだ。
正確性という点では、マルサンのドドンゴは、あまり写実的には作られてはいない。
実際の着ぐるみと比べれば、背中についている翼の位置も違うし、身体を覆う立体的テクスチュアも、実物のそれより派手目に装飾された、マルサンのソフビ版ドドンゴではあるが、それ以上に立体物として、美しく素晴らしく、正直、あのマルサン版を前にしたこのバンダイ版は、いかに造形が正確であっても、霞んで見えてしまうのではないだろうか。
マルサン版は、右前足を微妙に浮かせることで、今にも突進しそうな「間」を、硬質なソフビ人形に与えていたが、バンダイ版には、そこまでの趣はない。
バンダイ版は造形も塗装も「正確」だが、時として「独自性」は「正確さ」に勝るのだという、今のリアリズム主義一辺倒のフィギア価値観にとっては、考えさせられるエピソードである。
今回はそんなバンダイ版ドドンゴを、成型色を生かしてリペイント。
全身の黄色の表現は、キャラクターイエローに白と金色と、クリアイエローを混ぜた色でリペイントした。あとは瞳を黒に塗り、口中を赤に塗装。
最後に全身に墨入れを入れて、全体につや消しを吹いてある。