赤塚氏の名を知っていて、この名作の存在を知らない人はいないと思うが、その歴史的な漫画の始まりにおいて、これから生まれてくるだろう赤ちゃん(ハジメちゃん)の名前を何にするかという理由で、バカボンとバカボンパパが喧嘩するシーンで、そこでウルトラマンのまねをして「シュワッチ」と叫ぶコマがあり、おそらくシュワッチという文字表現は、これが最初ではないかと言われている。

『天才バカボン』赤塚不二夫より引用

確かに、本当にそれが最初かと問われたら、その辺はさすがに、自分には真偽は定かではない。
このバカボンの話は『ウルトラマン』の最終回『さらばウルトラマン』と、ほぼ同時に発売された少年マガジン1967年4月9日発行号に掲載されたものであり、そこまでに『ウルトラマン』は役9ヶ月の放映期間があったのだから、それまでの放映中の何かの出版物や雑誌で、「シュワッチ」という擬音が活字で書かれていても不思議はない。

しかし、自分の知るところでは、これが元祖であり初である。

国民的なお化け番組のヒーローの掛け声の表記を、国民的なギャグ漫画が決めてしまったというのは、面白い組み合わせではないかと思い、自分はこの説を支持している。

実はこの説は、2008年春先にNHKで収録された『BS熱中夜話 ウルトラマンナイト』こちらのスタジオ収録でも、筆者がコメントで述べたのであるが、とある事情(笑)で、自分のコメントは徹底的にカットされる事情があり(後にその事情とやらを、担当ディレクターが泣きながら解説してくれた)それはやっぱり放映では流されなかったのだけど、そのとき、収録に参加していた「ウルトラを文学で研究して、教育用材として活用する」を目的としたグループの一人の方から、収録後「あなたのあの説は間違っています。ウルトラマンの掛け声を、初めてシュワッチと表記したのは、永井豪先生の『ウスラセブン』という漫画です。偉そうに評論している身でありながら、そんな基本も知らないんですね」と、ありがたい(笑)メッセージをいただいたりなんかしたもんである(笑)

NHK 『BS熱中夜話 ウルトラマンナイト』 での筆者

ちょっとでも、漫画やウルトラに知識がある方なら笑うしかない言いがかりだろう(笑)
上でも書いたが『ウルトラマン』最終回と『天才バカボン』第一話は共に1967年4月。
永井先生の『ウスラセブン』は、そのタイトル通り『ウルトラセブン』(1967年10月放送開始)のパロディとして、1968年に描かれた漫画であり、時系列的に『ウスラセブン』が「シュワッチ」の初出ということはあり得ない。
確かに自分が主張した「シュワッチバカボン起源説」が100%当たってる保障はないが、少なくともバカボンでそういうシーンがある以上、その一年半後の漫画が初出だということはあり得ない。
あんまそういう頭の悪い人達に、ウルトラ文学教育運動とか、して欲しくないなぁ(笑)と思ったりもするのですが。

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