実相寺昭雄監督が目指した「美と醜のコントラスト」

そしてそれを阻んだ、高山良策造形と高野宏一特撮演出。

本話を再現するには、そういった、いびつなコラボ状態にも気を配りつつ、コンテを切って撮影に挑んだ。

海特撮は、慣れてきた感触があるのではあるが、今回はプール特撮と海面画像合成を併用。

しかしそれが上手く機能しきれたとは言えないレベルに終始してしまった感は否めない。

冒頭、海岸から上陸して真珠を食べるガマクジラ。

真珠は、手芸に使用するビーズの中からパール塗装の物を使用。

ガマクジラと比較すると、明らかにオーバースケールなのだが、実際の本編でも、演出的にオーバースケールな小道具が使われていたので、あえて大きさを無視して撮影に使用した。

真珠を吸い取るガマクジラの舌は、100円玩具の風船を使用。

こういった「日常品の中から、小道具に使える物」を探すのも、結構日々の楽しみだったりする(笑)

ビートルの登場から攻撃までは、岩山・茶土台・青空背景セットに、海面画像を背景に合成することで、海岸っぽい雰囲気を出してみた。

夜間設定撮影では、ガマクジラの目をフォトショップで発光させてある。

続く、ビートル編隊とガマクジラの海上シーンでは、セットは実際にプールで組んで撮影をしている。

ビートルが使う怪獣捕獲ネットは、100円ショップの玩具が収納されていたネットをそれっぽく加工した物。

ガマクジラが捕獲されて吊り上げられるシーンでは、実際にネットで吊って撮影をしている。

ロケット弾作戦で打ち上げられたガマクジラは、操演で撮影。

ウルトラマンは、アクションフィギュアと飛行モデルを併用して、最後の激突には爆発炎を合成して、画像を作成している。

ウルトラマン・Bタイプ

本編同様、『光の国から愛をこめて』に登場するウルトラマンもまた、14話『真珠貝防衛指令』から、29話『地底への挑戦』までの再現ではBタイプになる。

今回、Bタイプウルトラマンのアクションフィギュア再現には、ほとほと苦労させられた。

なぜなら、現在バンダイから発売されている、もしくは、過去に発売されたソフビシリーズには(1983年から30年発売され続けたウルトラヒーローシリーズソフビと同じサイズの)Bタイプのウルトラマンは、どこにも存在しないからである。

『ウルトラマン』(1966年)放映39話中、最も出演期間が長いBタイプだけが、今(2022年現在)まで一度も、マスプロソフビでは商品化されていないのだ。

バンダイの旧ウルトラヒーローシリーズソフビと、サイズがあうBタイプウルトラマンのフィギアさえあれば、そこから頭部だけを切り離して、ウルトラアクションヒーローに移植するだけで、簡単に可動Bタイプのマンが完成するのは、既にAタイプで実践済みであったので、あとはサイズが合うソフビを探し出すだけであった。

そんな、ブログ版を企画した2006年の当初から、頭を悩ませていた「Bタイプ」だったが、ちょうど合うサイズでのBタイプの初代ウルトラマンフィギアが見つからず、一時期はBタイプの再現を諦めて、本話以降の全てを、Cタイプのウルトラ超合金で再現しようと判断したこともあった。

そんなおり、ヤフーオークションで珍しいアイテムを見つけた。

詳しい商品名は分からないが、それは、ウルトラマンとゴモラの、オリジナル造形ソフビと、大阪城その他がセットになった商品だ。

オークション出品者によると2001年の商品で、オークション出品時の商品名は「ゴモラ 大阪城対決セット」となっており、バンダイ系の玩具会社・バンプレストの非売品となっていた。

たぶん、アミューズメントのプライズ景品か何かなのであろうが、それはそれはいろんな意味で、筆者が行おうとしている再現特撮に適した商品だった。

ゴモラと大阪城に関しては、『光の国から愛をこめて』で『怪獣殿下』を扱うときに、詳しく解説をくわえるだろうが、一番のポイントはウルトラマンのソフビ。

材質こそムクのPVC製であり、ポーズも固定で可動もしないフィギュアだったが、その顔の造形はまさしく、ゴモラと戦ったBタイプのウルトラマンだったし、そのサイズも、ウルトラヒーローシリーズのソフビにぴったりだったのだ。

いや、これは狂喜した(笑)

実はBタイプウルトラマンについては、その直前に苦渋を舐めた経緯がある。

まだブログ版が発足する以前、いろいろと構想を練っていた頃、Bタイプウルトラマンをどう再現するかで思い悩んでいて、何か適当なアイテムはないだろうかと、アイテムを探していた時期に、「バンダイソフビサイズでBタイプ」という条件を満たすアイテムが存在するという情報をネットで得た。

聞けばそのアイテムも、やっぱりプライズの景品アイテムだと言う。

2003年に発売されたバンプレストの「ウルトラマンダブルソフビフィギュア」のゴモラとセットされた

ウルトラマンソフビがそうだと言うのだ。

この時点ではまだ筆者は、大阪城セットの存在を知らなかった為、藁にもすがる思いでこのアイテムを探し、ようやくヤフオクで手に入れてみたものの、いざ届いたフィギアを手にしてみたら、これが微妙にサイズが小さく、アクションヒーローへの頭部の移植を、泣く泣く諦めた経緯があるのだ。

「ウルトラマンダブルフィギュア」版のゴモラ(左)と旧バンダイウルトラ怪獣シリーズのゴモラ(右)

そんなプロセスがあったので、「大阪城セット」のアイテムのサイズがバンダイウルトラヒーローソフビ(というかアクションヒーロー)と合致したことは、本気で嬉しかった。

というわけで、その「ゴモラ 大阪城対決セット」の、ウルトラマンBタイプのソフビの頭部と平手を、アクションヒーローのウルトラマンに、移植して出来上がったのが、今回使用している、Bタイプウルトラマンである。

ソフビの頭部の出来は、バンダイの正規品に勝るとも劣らない。

Bタイプ特有の、どこか柔らかい牧歌的な表情を、上手く再現しており好感が持てる。

何度も言うけれどサイズはぴったり。

これでようやく、本放送で活躍したA・B・Cの3タイプのウルトラマンが揃い、再現特撮も栄えることとなったのである。

完成品では一応、アクションヒーローの胸の部分と、赤いパンツ部分の塗り分けを、Bタイプっぽくリペイントしてある。

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