その都市伝説とは「パラス・アテネはアニメ制作初期にはデザインが完成されていて、すぐに金型も作られていたが、所持武器の設定がなかなか決まらず、まだまだアニメにも登場しないということで、本体だけが金型が先行して作られ塩漬けになっていたものが、アニメ終盤に登場したタイミングで発売された。だからキットには武装が付かないのだ」というもの。
いかにももっともらしい逸話っぽく聞こえるし、キットに武装類が一切付属していなかった理由付けとしては説得力もあるが、冷静に考えてみるといろいろ矛盾も見えてくる。
まず、このパラス・アテネのデザインを見る限り、どう見ても序盤の量産機のスタイリングではないし、かといってシリーズ中盤で敵メインパイロットがこぞって乗り込んだ変形可変型モビル・スーツでもない。
また、重要な当事者証言でいえば、このパラス・アテネのデザイナーである藤田一巳氏自身が「デザインラインはガブスレイから継承、発展したものである」と語っていることも見逃せない。
シリーズ展開的に、ガブスレイは第21話から登場であり、パラス・アテネは第28話からの登場なので、藤田氏証言の辻褄は合う。
確かに「当事者証言を過信し過ぎてもいけない」は昨今の「思い出ビジネス」の背景にはあるのだが、藤田氏がこの件で虚言を述べるメリットがない。というか、藤田氏がこの証言をしたのは、『Zガンダム』放映直後時期である。