完成したHGUC パラス・アテネの正面。針山のように武装が付いている

その上で、仮に都市伝説どおりに、本体デザインだけが先行して完成していたとしても、アニメに登場するにあたっては当然武装もデザインされるわけであり、それらのデザインが上がってこないということは、まだまだ本編に登場する可能性はないわけで、そんな未知数の段階で、結構バカにならないコストがかかる金型を、アニメに本当に出るかどうかも分からないメカの物まで先行して作らせる必然性も可能性もないというビジネスの基本論。

完成したHGUC パラス・アテネのサイドビューとバックビュー

いくらガンプラブームが過熱的だったとはいえ、『Zガンダム』時期では、アニメ登場に対してガンプラが先走りしていたのは極初期のことだけであり、シリーズの後半のメカにおいては、キュベレイは1/220、ジ・Oに至っては未キット化とビジネスは縮小しているわけであり、そんな独断専行型の逸話はアテにはならない。
これは筆者の私見だが、おそらく、おそらくであるが、それは単なる「コストダウン」が目的だったのではないか。
この(『Zガンダム』旧キット)時期、ガンプラのビジネス目的がコストダウンにあったことは、メインコレクションシリーズのスケールが1/220に移行したことでも明白である。
その上で、平均的サイズのメタスやハンブラビは1/144キットのまま変形も可能な仕様で発売されたが、パラス・アテネを含んだ1985年の年末以降のキットでは、同じ大型サイズモビル・スーツのガブスレイは変形機構をオミットされて発売された。パラス・アテネの武装オミットも、そのレベルのコストダウンで武装が省かれたのだと思う。
「それ」が上記のような都市伝説を生んだのは、(後述するが)確かにパラス・アテネの武装デザイン完成がかなりタイトだったことが演出からも読み取れることと、「武装のないガンプラには、何か他言無用な逸話があるに違いない」というマニアの予断が生んだ産物かもしれないのである。

さて、キットの解説に移ろう。
今回紹介するのは、そんな「放映当時には武装類が一切付いていなかった」パラス・アテネのHGUC。
こちらの方は旧キットと真逆で、アニメにも登場しなかった武装までフル装備なのは嬉しいところ。
プロポーション、可動は旧キットも(あの時代レベルではあるが)そこそこ悪くはなかったが、さてHGUC版はどうであろうか。

HGUC パラス・アテネの、腕の可動範囲

肩は旧キットより高く水平まで、肘も90度は曲がる。胸部と腰を繋ぐパイプはゴム系樹脂で作られている軟質性なので可動を妨げず、腰の回転もある程度可能だ。

下半身の可動範囲

下半身は、開脚の方は旧キットもそうだったが、どうしてもスカートの形状(と股間部分との干渉)の影響を受けてしまうのでそれほど広くない。
前後開脚に関しては、こちらは逆に腰スカートが脚部接続なのでしっかりと前に踏み出すことが出来、膝関節も二重関節なので、ガンプラファンみんな大好き「膝立ち」がしっかり出来る(足首の可動はさすがにそこまで追いついてはいかないが)。

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