この商品の長所、短所をざっと整理してみようと思う時に、真っ先に思い浮かぶのは「バンダイがよくやる、中途半端に商品展開しておいて、売れないとさっさと打ち切る」をやってしまったこと。「ソフビ魂」「キャラウィール」等にも言えるのだが、バンダイはシリーズものを商品化する時に「あと〇〇さえあれば全員揃うのに」というタイミングでも、ビジネスとして採算が合わないと判断したら、スパっと打ち切って次のシリーズに移行する。それこそこのウルトラ超合金でも、ネクサスは「現行放映商品」だということで抜かして考えた時、タロウまで揃ったのだが、レオがいないので「昭和第二期までの主役ウルトラマン」が揃うわけではない。またゾフィがいないので、「ウルトラ6兄弟」という括りでも「M78星雲のウルトラマン」という意味でも揃わない。とても中途半端なシリーズになってしまったことは否めない。
その上で長所をあげていくと「「ディテール関節型」ウルトラフィギュア、初のハイエンド商品」「関節の保持力やポーズの幅は、スーツを着せるフィギュアの比ではなく幅広く、また手堅い」「手首交換という要素を取り入れたため、ヒーローごとの必殺技のポーズや個別の印象的なポーズが可能に」「ガンプラでもまだ完全標準搭載ではなかった二重関節が、肘と膝に仕込まれているため、かなり力の入ったポーズが可能になっている」「超合金なので、重たく質感も品がある」「後々のハイエンドウルトラマンフィギュアシリーズに受け継がれる豊富なオプション。帰ってきたウルトラマンのウルトラブレスレットの変形全種や、ウルトラマンタロウのバケツまで」等々。しかし上でも書いたが一番の長所は「バンダイのソフビとサイズが合う」これに尽きただろう。
一方でこの商品の短所も当然いくつかあった。それは「合金フィギュアなのでコスパが悪い」「合金をメインに使用しているため、重心が高く、フィギュアが棒立ち以外では、あまり派手なポーズで飾っていられない(すぐ倒れる)」「肩の引き出し関節という発想がまだなかった時代の商品なので、両腕を体の前面でクロスさせる、スペシウム光線ポーズを始めとする必殺技ポーズを自然に可能にするため、よく見ると両腕が本当の人間よりも長く造形されており、その結果、ポージングによっては前腕の長さが目立ってしまう」「超合金版ウルトラセブンへのオマージュとはいえ、「ディテール関節型」としてのハイエンドフィギュアは初挑戦だったからか、背面にネジ穴や、関節ごとの分割線が目立ちすぎてしまった」等々、しかし、商品としては新機軸で温故知新な部分もありつつ、バンダイとしてもフルアクションフィギュアのシリーズ維持は初めての経験だった。過去にバンダイは、『北斗の拳』で商品化したケンシロウフィギュアの金型を使って『聖闘士星矢』『ドラゴンボール』『ストリートファイターⅡ』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の両さん等で、アクションフィギュアを発売したことはあったが、サイズは10インチぐらいで微妙なサイズでもあった。
バンダイがS.H.Figuartsブランドを立ち上げ、本格的にハイエンドフルアクションフィギュアを自社製品のメインストリームに置くようになるのは2008年からであり、この商品はその試金石として機能したといってもいいだろう。
次回は「魁!オモ写塾・5 「ウルトラセブンアクションフィギュアの歴史・5」「児童玩具とリアルフィギュア。2種のウルトラセブン」」