シャアとセイラの「やっぱりあなたたち、血が繋がってるのね(笑)」的な枕

例えばビジュアル面での富野由悠季演出を読み解く、まるでサブリミナル効果のような演出。
今でこそ、設定面で誰も不思議に思わないし、謎が謎だったとも認識されていないかもしれないが、『機動戦士ガンダム(以下『ガンダム』(1979年)初放映時は、「果たしてシャアとセイラは、本当に兄妹なのか?」という部分が、リアルタイムファンの間では「謎」として認識されていたらしい。
そこに関しては、富野由悠季監督自身も、少し辟易されていたようだ。
放映当時の『月刊OUT』1979年10月号でのインタビューから抜粋してみよう。

富野 シャアとセイラが兄妹だというのも、別に秘密でも何でもなくて、話を進めていく上で、紹介している暇がないからしてないだけの話で(後略)

キネマ旬報社『ガンダムの現場から』富野由悠季インタビュー

確かに、後になって『ガンダム』を観直してみると、実に判りやすくシャアとセイラが兄妹であることが、たとえば色指定の段階でも示唆されている。
まずは、数あるキャラクターデザインにおいて、シャアとセイラが二人とも金髪なのは当たり前として置いておくとして、後半、セイラはGアーマーのパイロットとしてレギュラーで活躍するが、そこでのノーマルスーツ(宇宙服)は、メインカラーこそ、アムロ以外のカイやハヤトと同じイエローだが、ヘルメットを走るラインと“ひさし”、そしてブーツや手袋、肩の蛇腹部分などの配色の「ピンクと赤茶色」は、そのまんまシャアの乗るモビル・スーツの配色と同じなのだ。

そしてまた、こっちはお遊びの要素なのかは分からないが、ガルマを守り切れず左遷されたシャアが、第12話『ジオンの脅威』で白いスーツで、酒場でギレンの演説を嘲笑していた時にかけていたサングラスのティアドロップ型と、ほぼ同じ形のサングラスを、セイラもまた、直後の第13話『再会、母よ』冒頭の、海岸での日光浴のシーンでかけていたりする。

そんな枕で開始してみた、今回の『シン・機動戦士ガンダム論』であるが、『ガンダム』をあくまでスーパーロボットまんがとして読み解いていくと、その「背筋の正しいスーパーロボットまんが」ぶりに、まずは納得させられるしかないという話を、前回までで2回続けて、事細かく因数分解し続けてきた。

その流れに沿って話を進めるのであれば、ランバ・ラル退場後、第22話『マ・クベ包囲網を破れ』第23話『マチルダ救出作戦』の2本には共通点があり、方やジオン側は、この時期グフをメインの敵として複数送り出してきていて、22話ではザクマシンガンを使わせてみたり、23話では、フライト補助ユニットのドダイYSに乗せてみたり。あきらかに敵軍の兵器のレベルが底上げが強調されているのだ。

ガイア「ハハハハ! まあ、まかせろ!」
ガイア「シャアと我々とは脇が違うて! 早速木馬と白いモビルスーツとやらを見せてもらおうか。まあいい! オルテガ! マッシュ! いくぞ!」
マッシュ、オルテガ「おう!」
ガイア「そろそろ近いぞ!」

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