前回は「岡本麻弥アクトレスインタビュー・4『岡本麻弥と「ひとりスペクタクル」とアニメ声優を超えてと』」

今や女性声優の大御所にして常にトップを走る表現者、岡本麻弥さんへのインタビュー第5回。今回は『岡本麻弥アクトレスインタビュー・5『岡本麻弥とアメリカ修行と「品がある演技とは」と』です。

イラストレーション・青ビト氏

――そうなるまでの間に、岡本さんは一度渡米留学をされていますね。

岡本 そうなんですよ。私、アメリカへ行ったときも、考えて悩んでとかじゃなくって、お風呂入っててなんとなく「あ、アメリカ行こう」って思いついちゃったんですよねぇ。で、一度そう思っちゃったんでお風呂を出たらすぐに、事務所のマネージャーに電話をして「すみません。私アメリカへ行くんで、レギュラーを整理してください」って言ったんです。もちろんきっかけはあって、その直前に(声優の)三木眞一郎くんが『ハリウッド女優になったOL奮闘記』中村佐恵美著)を「これ、麻弥ちゃんに読んで欲しくて」ってくれたので読んだんです。そしたらですよ?普通の OL だった女性がアメリカへ行って役者やっていて、私は女優なのに、なんでここに居るんだろう?って。で、ある時「この(自分が吹き替え担当の)女優は、どういう流れでこの役を演じることになったんだろう」と思って、考えているうちに、今ここに居ても、ある日玄関のベルが鳴って、スピルバーグ監督が表れて「私の映画に出ないか?」という現象は起きないよなって思ったんです。そしたら、居ても立っても居られなくなったんですね。OL だって向こう(アメリカ)で女優やっているんですから。私は仮にも役者って言っているので「役者なんだからスクリーンの向こう側へ行きたいな」って思ったんですよ。でも、そうなると英語も勉強しなきゃいけないし、グズグズ考えてる暇なんかないんです。だからすぐマネージャーに電話しました。(事務所は)そりゃ上を下への大騒ぎになりましたけど、でも自分の人生じゃないですか。自分の人生って結局、親も子も、友達も彼氏も伴侶も、誰も最後まで一緒にいないじゃないですか。最初から最後まで一緒にいるのは自分自身だけ。だから、私が私の人生をどう決めるかっていうのは、私にしかできないんですよ。申し訳ないとは思います。迷惑はかけるかもしれないからそこは申し訳ないけれど、マネージャーも怒るかもしれないけれども、私の人生の行く先を永遠に責任を持つのは私だけ。だから、私も誠意はもちろん尽くしますけれども、(事務所やマネージャーには)違う形で恩返しが出来ればいいんだなって思っていて、結局アメリカに行っちゃいました!

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