Gメカとセイラと
――第27話~36話でお好きなシーンはどこでしょうか?
日本サンライズ『機動戦士ガンダム 記録全集4』富野由悠季スペシャルインタビュー
富野 ジャブローの上空で、ガウから次々にモビルスーツが出て来るでしょう。「ああようやく戦争らしくなったな」と安心した記憶があります。このブロックは、ガンダムの中で一番おもしろみのないブロックになったのではないか?という不安がありまして。
『機動戦士ガンダム(以下『ガンダム』)』(1979年)演出上での、この、富野由悠季総監督の談話は、筋だけ追って納得するのではなく、前回までに語った「ジャブロー戦直前期が、やや希薄になりかけていた“スーパーロボットまんが”としての王道要素を、回収しドラマと絡められるようになったステージに至ったタイミングである」という解釈を前提にすると、とても「ロボットまんがテレビ演出責任者」として、“正しい”リアクションである。
実際、おっかなびっくりで(多分現場では、他に適任者たる登場人物配置が想定されていなかったからであろう)Gメカに、セイラを乗せるというトンデモ人選は、第16話『セイラ出撃!』伏線として有効だったとはいえ、うまくメカ物としての画に馴染ませられるかは、ガンダム班の勝負のしどころではあったのではないだろうか。
結果的に、というか、必然的に、セイラは(今にして後付けでフォローするのであれば“あの赤い彗星”の妹なわけだし的に)目まぐるしく運用が変わるGメカを、次々と戦局で使いこなし、アムロとセイラのコンビネーションも、めきめきとスパイラルで上がっていった。
1980年代にラポート社の『聖戦士ダンバイン大事典』で、後に小学館の少年サンデー等で活躍する漫画家・ゆうきまさみ氏がパロディイラストで「富野アニメの法則。ヒロインが最終的に、誰になるのかは、一年間終わってみないと分からない」と描いておられたが、全くそのとおりで。
『ガンダム』の場合、ただでさえ、往年の王道キャラ配置を模した登場人物一覧のデザインから始まっていたので、例えるなら『勇者ライディーン』(1974年)のヒロイン・桜野マリ的には、メインヒロインはフラウ・ボウになるはずであろうというのがまずあった。
セイラは確かにクールビューティだが、同じ『勇者ライディーン』に準えるならむしろ明日香麗のポジションであっただろう。
それでいて、最終回が終わった後に遺された女性としての核は、全部ララァ・スンが持って行ってしまうのだから、本当に気が許せないアニメであった(なにが?)。
もっとも、セイラが女性戦士としてエースになっていくことは、正式な『機動戦士ガンダム』設定書・原案には既に書かれてあった。
セイラ・マス(17才・女)
日本サンライズ『機動戦士ガンダム 記録全集 1』設定書・原案
ジオン・ズムの娘。ザビが主権を握った時、ジオン公国を脱出して、地球で生活する。権力の抗争を極度に嫌う。連邦国民として新天地サイド7に移住し、平和な一生を願うが、ペガサス(引用者註・この時点でのホワイトベースのこと)との出会いが、彼女を26人衆の中でもりりしい戦士に、育てあげていく。
少し脱線したが、冒頭引用の富野監督コメントは、ある意味では“スーパーロボットまんが”を、“スーパーロボットまんが”らしく作る枠に収まるというルーティン自体がおもしろくないものになってしまうという自戒にも受け取れる。











フラウ「えーと、使えるわ」
アムロ「Gブルのパーツを用意して貰ってくれ」
フラウ「了解!」