大賀 僕が映画監督の山際永三氏にインタビューしにいったんですけど、僕は『ウルトラマン』関係のお話を聞きに行ったはずなのに、なぜか話題がどんどん飛ぶんですよ。どこまでかっていうと、山際監督と『映画評論』の佐藤重臣氏との、松竹ヌーベルバーグ評価を巡っての骨肉の争いとか(笑)
三留 あはははは!
大賀 新東宝時代の中川信夫監督の、大倉貢社長に対する逸話とか、どっちへ飛んだどんな話題でも、必死に拾いに行きましたからね、僕は。地獄の千本ノックみたいなインタビューでしたよ、あれは(笑)
三留 あははは! でも、(山際監督が)話したくなるっていうのは(大賀が)良いインタビュアーなんですよ。そういうのは、通り一遍等でただの聞き手に回っちゃダメでしょ。
大賀 むしろ「それ」で困るのは、インタビューん時は軽妙に語ってくれて、それを文字起こしした原稿を、チェックでお渡しすると「いや、乗せられ過ぎてしゃべり過ぎちゃったから、ここ削ってください」で、見事な量の赤が入って、原稿のツボがこそぎ取られちゃうことが最近多いわけです(笑)
三留 うふふふ。「しまったぁ! つい口から出てしまっていたぁ」って感じだよね(笑)
大賀 そこまで言わせないとダメですよね、本来。
三留 そう。そうなの。そうなんです。相手を持ちあげるだけじゃなくてね。ドキュメンタリー(映画)なんかもそうだよね。ある意味、喧嘩を売っていったりでもいいんですよ。それだけ本気ってことを、相手に伝えることが出来れば、その方が聞かれる側も面白いと思う。
大賀 ある日、僕は、なんっの罪の意識もなくSNSに「あぁ『スターウォーズ』の、日本で最初に公開されたバージョンのDVDが欲しいけど、バージョンがあり過ぎてどれを買えばいいんだろう?」って呟いたら、アニメ評論家の氷川竜介さんに叱られちゃって(笑)
三留 「そうじゃないんです」って?(笑)
大賀 「それぞれの版にはそれぞれの意味があり、公開版もいろいろ後の事を前提として作られているんです」って
三留 怒られちゃったんだ(笑)
大賀 僕は「それは分かります。でも、僕が言いたいことはそうじゃないんだ! 単純にまだ『SW』を未見の人に、最初の1978年(日本公開)の時の感動を伝えたくて……。そうじゃないんだ!」って(笑) でも「これはこうこうで」って詳しく説明頂いて、僕が「なるほど! ジャバ・ザ・ハット以外にも、George Walton Lucas, Jr.はいろいろ考えていたんですね」って答えたら「そういう風にとらえる人がいるから、僕は教えたくなかったんです」って叱られちゃって(笑)
三留 (大爆笑) あぁだから拘りがね(笑) まぁ氷川さんの気持ちも分からなくはない(笑) そうね、そうだよね。(『SW』を)愛してるんだよねぇ。うんうん。
大賀 だから僕の中で、氷川さんと三留さんと町山(智浩)さんの御三方って、絶対に抜けないのは分かっているんだけれども、「なんで一緒の時代に生まれられなかったんだろう」っていう想いは凄く募りますね。こと、映画やサブカルの話題については、この世代の皆さんが90年代までに語り尽くしちゃった感がある。この中で一番年上なのが氷川さんかな? もう還暦になられるし。
三留 そう、で、私と町山君が一歳違い。彼が一個下。今、私が住んでるのは、町山君が住んでた住宅なんだよね。