大賀 だから。『HOUSE ハウス』のアレはハッピーエンドとは言えないんだけれど、70年代のアンハッピーエンドクラスタが持っていた「身も蓋もなさ」っていうのはなかった……。

三留 なかったのよね。だけど、あの物語のころは、まだまだ戦後っていうか、「戦争」が「そこ」に振り向いた時にあって……。

大賀 愛する男性を戦争に奪われた女性の物語……。

三留 で、ずっと待ち続けて、結局は……っていう。だから『太陽を盗んだ男』よりも、もっと近くに戦争があったってことなんだよね。でも「そういうこと」に最初は気付かないんだ。もうちょっと経ってから「あぁそうか」って感じで気付いたけど。だから(『HOUSE ハウス』は)むちゃくちゃやってて、今までにない弾け方なんだけれども、すごく苦いテーマを持っていたのね。

大賀 今「あのころは」って言い方があったけど、僕からするとこの国は、まだまだ戦後から抜けきってない。

三留 うん。

大賀 むしろ、いつの間にか戦後のまま「戦前」になっちゃったっていう。

三留 うん。それはそうなんだよ。ずーっとね。

大賀 そういう意味でも、僕が大林監督から、映画作品以外の部分で一番感銘を受けたのが、いわゆる「尾道の1/1大和騒動」でしたね。

大林宜彦監督

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