前回は「三留まゆみ×市川大賀 第十三夜「三留まゆみと日本の教育の現状と」」
三留 石原が総理かぁー(笑)
大賀 そのころってちょうど『ゴーマニズム宣言』が台頭してきていて、オウムの事件(1995年)とかもあって、阪神淡路大震災も同じ年ですよね。そういう意味では三留さんが語ってらした「3.11以前・以降」への布石みたいなものが「そこ」にあったころなんですよね。
三留 そうだね。
大賀 例えば小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』について、あくまでこれは僕の仮説なんですけれどもという前置きをおくとして。あの作品、当初は作者の小林が、普段の生活や身の回りに起きた出来事に対して、誰も口にしなかった正論をズバッと切りつける、それこそさっき三留さんが言われたエンタメ作品として登場し、人気を集めていく過程で、「HIV訴訟を支える会」で薬害エイズ問題とかも取り扱うようになって、社会派エッセイ漫画になっていったじゃないですか。そのころまでは、作風も作者本人も、どちらかといえば左派寄りだったわけです。
三留 確かデビュー作(『東大一直線』)も、いわば学歴社会批判だったわけだしね。