「あっ!」
「ひょっとするとあのちびっこ怪獣、松井所員のいるところを知っているのかもしれない」
「でも相手は怪獣よ?」
「いや、この帽子もこのハンカチも、我々を松井所員のところに案内するために、わざと落としたんだぜ。とにかく後を追ってみる」
「松井さんだ! 松井さん! しっかりしてください!」
「あなたを助けに来たんですよ!」
「地震と火山が、この島の自然を狂わせたんです。二年半ぶりに帰ってみたら、まるで有史以前の恐竜時代に舞い戻ったような、怪獣達の、弱肉強食の舞台になっていたんです」
「……このガイドさんがいなかったら、とても貴方を見つけられなかったわ」
「怪獣達の中にも、あんな善良な奴を作った神を、私は信じるようになりました。……命の恩人ですよ」
「おい! 怪獣だ!」
「あ! ピグモンがっ!」
「皆……静かに眠ってくれ……。恐ろしい怪獣達も、怪奇植物も、皆この人達が退治してくれた」
「これでこの島も、南海の楽園に返るだろう。だが、自然はこの夕焼けのようにいつも美しいとは限らないってことを、忘れてはならないな……」