★このセブンは、当時品か? 復刻版か? 贋作か?

最近ヤフオクなどで、近年発売された安価な復刻版に、いかにも「それらしく」経年劣化処理を施して、当時品と騙して高額で売りつける商法が跋扈しているが。
今回入手したこのセブンも、ヤフオク経由なのであるが、今回のコレは、断じて復刻版ではないことが、すぐに証明できる。
なぜなら、ウルトラセブン450の復刻は、筆者がこのソフビを入手した2016年の現在では、まだ新興マルサンが販売しただけで、新興ブルマァクは復刻版に着手していないからだ。
マルサンが、マルサンのソフビを復刻するのに、ブルマァクの刻印をするとは考えにくい。
そして、筆者のセブンの足裏には、ブルマァク刻印が刻み込まれている。
だとすると、まずこのソフビは、復刻版ではないという言及が成り立つ。
次に問題になるのは、果たしてこれは、正規ブルマァク商品なのか、それとも当時無名のメーカーが違法に複製した、無版権商品なのか、ということである。
確かにこのセブン450ソフビは、ヤフオクで落札した時には、ヘッダーも台紙もない、むき出しの状態であったので、正規品か無版権複製品なのかを一番明確に判断する材料となる、商標版権シールの有無が判別できない。
一応、当時のセブン450ソフビを扱った、写真付きのサイトやブログは数多くあって、それらのバリエーション紹介や商品サイズなどは細かくチェックしたが、当時の違法コピー商品は、むしろ現代の違法コピーよりも大胆で、現代の違法コピーであれば、商品を原型にして複製するため、どうしても元のソフビよりも一回り小さくなってしまうのだが(現代の、当時品を原型にした新復刻版ソフビの、サータンやモグネズン等が、当時のソフビより一回り小さいのと同じ理屈)、70年代初頭までの違法複製ソフビは、あろうことか正規の金型(それは全国の工場で生産するために、メーカーから無数に配布されていたので)を、そのまま使って勝手に生産して売り捌いていたという問題なので、正規品と複製品を見分ける手段は、素材の材質と塗装の仕様やクオリティしか材料はないのだ。
見る限り、目の塗装は粗雑だが、塗装の色味は「ウルトラセブン Vintage」で紹介されていた、ブルマァクBタイプに限りなく近い。素材も、粗悪な物を使っているようではなさそうだし、イマドキの復刻版詐欺とは違い、仮に模造品だったとしても、経年劣化という意味では、正規品と等しく年月が経っているので、そこで判断はしにくい。
そこで、最終的に判断の決め手となったのは、やはり「ブルマァク刻印 セブン450ソフビの、生産販売期間の短さ」である。正規品が、たった一年間しか存在しなかった商品の、金型を流用して作られた違法コピー品など、むしろブルマァクの正規品よりも、残存数は少ないはずである。加えて、ブルマァク刻印がされたセブン450が生産販売された1972年は、既にセブンは(ウルトラ兄弟の中では重鎮ではあったが)決して主役ヒーローではないので、違法コピーの模造品セブンであれば、マルサン期の方が生産数はピークだろうから、果たしてブルマァク刻印金型期に、セブン450の違法コピー品を、わざわざ製造するメリットが、違法メーカー側にあったのだろうか?という疑問は尽きない。

代替テキスト

加えて、「ウルトラセブン Vintage」の記述にもあるように、セブン450へのブルマァク刻印は、違法コピー品への法的対応の、後に改めて施された可能性が高く、事件が大々的に報じられた後に、新たにブルマァクの金型にまで手を出して、違法コピー品を生産する業者というのは、殆どリスクしかないだろうという見解も成り立つ。
以上の考察と検証から、今回入手したセブン450はれっきとした、70年代序盤のブルマァクウルトラセブン450の、当時品であると、現状では言及してよいと判断した。

いろいろ書き連ねてきたが、自分の人生で初のセブンソフビと同じものを、我が家に迎え入れる感慨はひとしおだ。
我が『光の国から愛をこめて』では「撮影に必要であれば、どんな高額なソフビでも入手するが、撮影に関係ないソフビは絶対に手に入れない」を信条としてやってきたけれども、今度ブルマァクから、スタンダードサイズのウルトラマンが復刻されると聞き、いてもたってもいられなくなって、当時品のウルトラセブン450も入手してしまったという次第。

そういえば、どんな人気怪獣よりも、金型が残っていそうなウルトラマンやセブンだが、新興マルサンの復刻版ウルトラセブン450も、今度のブルマァクのスタンダードサイズウルトラマンも、金型からの復刻ではなく、当時品を3Dスキャナーで読み込んだ形での新復刻版らしい。
さ てさて、「往年の究極の販売数を誇った二大巨頭ヒーローソフビの金型」は、マルサンでもブルマァクでもなく、いったい誰が持っているんでしょうね(笑)

とりあえず、今は幼稚園児の筆者の心情にタイムスリップして、この名作ソフビと戯れたい。

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