幻に終わった「怪獣トーナメント戦」と「人気怪獣パゴス」

山田正弘

野長瀬三摩地

高野宏一

「台風13号は本日午後3時14分に、伊豆半島に上陸北上中。中心付近の気圧は913ミリバール、最大風速45メートル。暴風圏は半径50キロ」

「なにをぼやぼやしてるんだ! 復旧予定時間をすでに二時間も経過してるんだぞ」

「ですからさっきも報告したとおり、二度もちゃんと直したのに、地下で異常な振動が起こって壊されてしまったんです」

「あっ!」

「あ! ガボラだぁっ!」

「科学特捜本部を早く! ガボラ! ガボラだ!」

「ガボラが現れたのは宇鳴町にあるウラン鉱山付近の地点。ガボラはこの宇鳴町をメチャメチャにした上、今度は隣の阿部町に向かって進行中なんだ」

「キャップ、ガボラは放射能光線を吐く怪物ですね」

「うん、しかもやっこさんの好物はウラン235だ。今ガボラが狙っている阿部町にはウラン貯蔵庫がある」

「じゃぁ、ガボラはウランを食べるために!」

「そうだ、阿部町がやられたらその一帯が放射能に汚染される危険がある。

なんとか阿部町への侵入を食い止めなきゃならん。さあ、出動準備!」

「一つだけ方法がある」

「一つだけ?」

「うん、ガボラの好物、ウラン入りのカプセルをヘリコプターに吊り下げて、ガボラを30キロ離れた山の中に誘い出すのだ」

「それは却って危険だ。ウランを見たらキチガイみたいに暴れだす。ヘリも狙われるぞ」

「しかし、他に方法がありません」

「あっ、ガボラ!」

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