ことの起こりは、今現在もサイトで上げてる『ウルトラセブン』(1967年)再現特撮の、その初期で『姿なき挑戦者』『湖のひみつ』を再現しているときだった。
その二つには、『セブン』商品戦略のキーだった「カプセル怪獣」が、『姿なき挑戦者(以下1話)』ではウィンダムが、『湖のひみつ(以下3話)』ではミクラスが登場したので、当然それらのソフビを登場させたのだが、それを最初に行ったのが2006年だったため、二つのカプセル怪獣のソフビは『ウルトラマンメビウス』(2006年版)で登場した「マケット怪獣」版のウィンダムとミクラスのソフビ(以下メビウス版)を使用した。
詳細は下で記すが、三体いるセブンのカプセル怪獣は、80年代にはバンダイウルトラ怪獣シリーズでは既にラインナップされていた(以下セブン版)が、80年代なのでそれなりの造形力でしかなく(……と、この時は思い込んでおり)、メビウス版を口実に、実際は2000年代のレッドキングやエレキングと同じようなリニューアルだと(……と、この時は思い込んでおり)捉えて、何も考えずに『ウルトラセブン』再現に使用したのだが、1話では感じなかった「違和感」が、3話の再現では強く感じられ、それが、ソフビの出来の問題ではなく、元にした着ぐるみの違いであることがはっきり判明した。
ウィンダムは(後に武装が追加されたファイヤーウィンダムはともかく)、比較的セブン版と着ぐるみ自体が相似形であったので、1話を再現しているときには気付かなかったのだが、3話でのミクラスは、メビウス本編でも愛らしくアレンジされ、しかもそのアレンジが、元のセブン版と明確になにかパーツ単位ディテール単位の有無による手法ではなく、眼の大きさや角度や、顔を構成するパーツのバランスによって、あきらかに「ゆるキャラ・マスコット系」へアレンジが意図的に的が絞られていて、そのゆるキャラ的着ぐるみを忠実にアレンジしたメビウス版ソフビが、エレキングとの死闘対決にまったくそぐわないと感じたのだ。
しかし、ネット等の画像や、昔玩具屋の店先で手に取った時の印象の、セブン版ミクラスのソフビは、ポーズは固いし造形も、シルエットのメリハリが強調されておらず、手に取りもせず「使えない」と判断して、消去法でメビウス版を使って撮り足したのだ。
しかし、やはり何か違う。
3話再現はかなり敷居の高い準備と小道具が必要で、今更もっとセブン版着ぐるみに近くてサイズも合うミクラスを手に入れても、改めて撮り直す余裕も殆どないので、そこは諦めなければいけないのだが、本サイトをご覧の方ならお判りのとおり、大河さんあきらめが悪い面倒な性格。
以前紹介した『』での比較検討がきっかけで、歴代エレキングのソフビを揃えたことがスイッチになり、ついついバンダイ旧版、セブン版ミクラスのソフビを手に入れてしまってみると、ポーズこそ固いのは印象のままだが、動かしてみると意外に演技は悪くない。それどころか、丁寧にリペイントを施してみると、セブン版はどれも80年代の造形で、特にウィンダムとミクラスは、旧ポピーキングザウルスから数年しか経っていないのに、かなり着ぐるみの微妙なディテールまで再現されていることが分かった。
これは、塗装で化ける!
それは、『光の国から愛をこめて』再現で、アギラやギエロン星獣、ケムラーやドラコをリペイントして使ってきた経験が閃かせた。
バンダイウルトラ怪獣シリーズ、特に1983年スタート時のラインナップは、ペガッサ星人やガッツ星人、メトロン星人等の宇宙人系から、後に造形変更されるゴモラ、ベムラー、エレキング等の怪獣に至るまで「直立不動の気を付け姿勢」造形でかなり損をしている物が少なくない。
遅れて1989年に造形されたアギラはともかく、1983年組のウィンダムとミクラスは、やはり直立不動造形なのは否めない。
しかし、塗れば化けるかもしれない。
その上で。
今も書いたように、アギラは1989年に発売されたセブン版が、塗れば極上のハイエンドなソフビであり、新規造形の必要はなかったが、アギラという怪獣キャラが、40年の時を経て、映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』(2009年)に登場。この(以下バトル版)着ぐるみが、やはり漫画的マスコット風にアレンジされており、同様に映画に登場したグビラと共に、その映画の商品としてソフビ化されたが、それは確かに出来は素晴らしいが、バトル版着ぐるみに対して忠実という意味でしかなく、セブン版着ぐるみとは「似て非なる者」というしかない。
なので、今まで手元には、メビウス版のウィンダムとミクラス、セブン版のアギラが手元にあったが、「バンダイソフビ第一期のポテンシャルを再認識して再評価しよう」という意味で、それぞれセブン版のウィンダムとミクラス、バトル版のアギラを手に入れて、セブン版をそれぞれ徹底的にリペイントして、21世紀版造形ソフビと比較する、という企画を今回はお届けする。
(なお、今回のローカルルールとして、80年代版と21世紀版を比較するにあたって、80年代版はリペイントをしているが、21世紀版は商品状態のそのままで用いている)