ウルトラセブン・1993年NHK版
本ドラマで扱われてる『ウルトラセブン』の主役のセブンは、バンダイが発売している、ウルトラアクションヒーローのウルトラセブンに、同じくバンダイが発売している、ウルトラヒーローシリーズソフビの、ウルトラセブンの頭部を移植した、カスタムフィギュアで撮影をした。
本ブログでは、セブンに関しては、本編以降の客演ごとのセブンを、カスタムの方向性や技法で再現しているが、今回は独自の「90年代のNHK版」を目指してカスタムを施した。
元のアクションヒーロー版からのカスタムポイントは、バンダイソフビからの頭部移植、手を平手への交換、銀ラインの変更などである。
今回は、プロテクターの凹部分を(90年代までのセブンスーツ作成で、円谷プロ側において長年誤認識があった)金色で塗装。
具体的に、どの作品で使用されたセブン、という断定ではなく、「第二期以降、近年までにセブンと認識されていたスタイルの、総合記号化」というコンセプトで、フィギュアをカスタムしてみた。
後述するサウンドファイター版ポインターと併せて、どこか、セブン放映時の雰囲気とは違う違和感をかもしだせていたら成功である。
ポインター・1993年NHK版
このドラマに登場したポインターは、いつもの食玩版やメタルメカではなく、バンダイの系列企業・ユタカが、ハーティロビンで90年代に展開していた、児童用伝道玩具・サウンドファイターシリーズで発売されたポインターを撮影に使用した。
なぜ、今回だけこのサウンドファイター版を使ったかといえば、このサウンドファイター版のポインター、当時の玩具としては、とてもリアルに作られているが、しかしやはり、マニア向けのディスプレイモデルや昨今の食玩とは違い、どうしても各所がディフォルメされていたり、細部が実物と違っていたりする。
その「似てなさ加減」がまさに、本ドラマのポインター役にぴったりだと、筆者は判断したのである。
放映当時『私が愛したウルトラセブン』の、ある種の売りの一つが「あのポインターを完全復元!」であったことは、当時ドラマの製作発表時の、雑誌記事や記者発表を覚えている人には、記憶に残っていることだろう。
なるほど、本ドラマのために製作されたポインターは、ベース車の特徴を知り尽くした人や、細部にまで拘るマニアでもなければ、『ウルトラセブン』放映当時の実車と、見分けがつかないほどに似ている。
本ドラマでは、セブン本編とドラマとを繋ぐ依り代として、セブンやパンドンのスーツと共に、このポインターが、上手く巧みに使われていた。
このドラマで描かれた、『ULTRA7』の曲をバックに住宅街を疾走するポインターは、その後に必ず、情けない現実のオチが待っていたが、そのギャップは、ある意味で本ドラマの「ファンタジーと現実の距離感」を、浮き彫りにしていたと言っても、過言ではないだろう。
その、重要な位置づけを担うポインターは、本ブログでの再現では、隠れた主役とも言えたわけであるので、キャスティングは難航した(笑)
普通に考えれば、当時のスタッフがあれだけ似せて作ったポインターであるのだから、そこに敬意を払って、いつもと同じアイテムを使えば良かったのかもしれない。
しかし、それではつまらないだろうと思い、筆者なりのお遊びを、そこに差し込むことにした。
『私が愛したウルトラセブン』版のポインターは、非常に頑張って作られた。
しかし、やはりベース車が違うというのも手伝って、完全にそのまま再現というわけにはいかなかった。
その「セブン本編版と、1993年版の距離感」を、サウンドファイター版ポインターの「似てなさ加減」に、求めたというわけである。
別に、サウンドファイター版が1993年版に似ているというわけではない。
むしろ、サウンドファイター版がセブン版に似ていないのは、玩具ゆえの省略やディフォルメ、コストの問題ゆえに他ならない。
サウンドファイターは、マットジャイロなどの「元モデルがミニチュアであるメカの玩具化」であれば、現代にも匹敵する再現性を誇っていた安価玩具であるが、さすがに、元モデルが実物大の自動車であっては、今一歩、現代の食玩やアイテムには、譲る出来に落ち着いているのである。