メイン武装、フェダーインライフルを構えたガブスレイ

今回の劇中再現や紹介画像では撮影していないが、ガブスレイのメイン武器、フェダーインライフルは、前後逆に構えることも出来、通常時は肩ストックになる両サイドのパーツがクローになって格闘戦用になったり、逆向き状態でサーベルのクリアパーツを付けて銃剣として使用することも可能で、この辺りの『Zガンダム』のころの、メカ設定混沌化を上手く掬い上げて堅実にギミック再現している辺りは好感が持てる。

フェダーインライフルとガブスレイ

そのギミックのデメリットとしては、ガブスレイがライフル保持専用手首だけで、長物のこいつを、脇に抱えたり腕の外側で構えたり、あまつさえ前後逆に構えたり、銃剣として振り上げたりしなければいけない都合上、保持専用手首の四角い穴がライフルのグリップよりかなり大きめに造形されているので、逆にライフルを思い通りにホールドさせることが難しくなっていることだろう。
あと、両肩のメガ粒子砲パーツはボールジョイント接続だが、パーツ自体がABS樹脂製なので、すぐ外れやすいので気を付けよう。

そう「ABS樹脂製」
MiddleEdge時代の連載でも『機動戦士ガンダム』(1979年)のゲルググのHGUC回「『ガンプラり歩き旅』その34 ~ゲルググに、当たりキットはなかったのか!?~」でも述べたが、このABS樹脂という素材は、大賀さん的には百害あって一利なしとしか言いようがないのであるが、今回のHGUC ガブスレイも、変形のための可動システム部分や、それこそムーバル・フレーム部分の多くがABS樹脂に依存していて、モビル・スーツ時の可動でこそまだ不安は少ないが、こと、モビル・アーマー形態に変形させようと思うと、ABSのフレームに対してプラ製のカバーをはめたり外したり、それも繊細なタイミングでの変形や差し替えがメインの工程になるので、破損の危険性が高いことおびただしい。

再現画像より。迫ってきた昆虫型モビル・アーマー!

さて、ここまで引っ張ってきての今回の『新・ガンプラり歩き旅』ですが、毎回恒例の変形プロセス説明段階画像はありません(笑)
いや、なぜかというと簡単で、筆者のガンプラ作りの主な目的は、『シン・機動戦士ガンダム論』再現画像なのだが、それにHGUCガブスレイを出演させるにあたって、シーンによって一つのガブスレイを、モビル・スーツとモビル・アーマーへと、臨機応変で変形させて撮影させるには、リスクが多すぎると判断したため、キットをもう一つ手に入れて、モビル・スーツ固定とモビル・アーマー固定とで、それぞれ無変形で完成させ、2つをシーンに合わせて使い分けることにしたのだ。

再現画像より。戦場空域で、その昆虫型モビル・アーマーは人型モビル・スーツに変形した!

それは、一つ目のキットを購入して組み立てている最中に気づいたのだが、このキット、頻繁に変形を行わせていくと、確実に破損が起きるか可動摩耗が起きて、どちらの形態でも保持力が維持できなくなる可能性が大きい。
責任の8割はABS樹脂にあるのは明白なのだが、元々のデザイン段階から無理があったという見方があったとしても異論は挟まない。
ガブスレイの、人型から昆虫型への変形は劇的だし芸術的でもある。
そこは富野由悠季監督も気に入っていたようで、自身が執筆した小説版『機動戦士Zガンダム』で「ガブスレー」という名で登場させたこの機体は、そこでもモビル・アーマー形態が「セミのようだ」と表現されていた。
確かにこの時期のアニメメカで、こと変形メカに関しては総じてスパルタンなシルエットが求められ、イメージ的にはこういった、昆虫を想起させるグロテスクなメカニックは、主に「宇宙人の侵略メカ」的な立ち位置が相応であった。
そんなグロテスク昆虫メカから、戦場の兵士的な人型への変形を、リアルロボットアニメ(この括り方、好きじゃないんだけどなー(笑))の枠内で、とりあえず1985年レベルではあるが、破綻なくデザインを組み立てたという部分は評価したい。

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