きよの「女性たちは「産まない」という形で、現代社会に対する壮大なデモをやってるようなものですよね……。「こんな社会じゃ産めないし、産まないし、あなたたちみたいな男性の子は産みたくない」って。そういう無言の抵抗だと思います。このまま自民党的な家父長制度に男たちがしがみつくなら、そのまま国ごと滅びるだろうし、個人的にはそれで構わないと思っています」

大賀「そうなんですよね。つまりね。天皇制の偶像の父権主義と「子どもを産む機械なんかにはならない」で女性が拮抗していた時代を経て、今、愛国者達が、結局自分の隣にいる女性一人を笑顔に出来ないまま「男尊女卑こそ日本伝統! 女は子を産む機械」と症状を悪化させて、結果この国は亡ぼうとしてるわけです」

きよの「ははは……まぁ、勝手にやっていればいいじゃないの、と思うしかないです。倫理は置いておくとして、あとちょっとで人工子宮の技術も完成しそうですし、性欲に関しても、VRをはじめ今後飛躍的な進歩をしていくでしょう。そんなに家父長制続けたいんだったら、どうぞ生身の女を巻き込まないでやってくださいっていうのが、私の正直な本音です。少子高齢化なんて、もう半世紀前くらいから散々言われていたのに、自民党政権の無策・愚策の結果が今ですからねぇ……。いいんじゃないですか。このまま少子化が進んで、日本が世界一の閑散国になれば。女を働かせるのもイヤ、子どもを守るのもイヤだって言うんですから。国が丸ごと限界集落になって終了するしか選択肢はないじゃないですか」

大賀「これは私の著書でも訴えたんですが、仰る通り、70年代序盤、団塊Jr世代の出生率のあまりの低さに、経済白書は将来の人口減少と高齢化社会に対して、既にその時点で危機提唱していました。そこからきっちり半世紀、本当、なんにもやってこなかったんです」

きよの「私も団塊ジュニア世代で、それはイコール、雇用の面ではロスジェネ世代でした。それが分かっていながら、出生率を嘆かれたってねぇ……。家庭を持つどころか、周囲は皆、男子も女子も、自分自身が食べていくだけで精一杯の人間ばかりでしたよ。少子化への解決策は「男たちがもう一度、一家の大黒柱になれる社会に戻すこと」じゃないんですよ。「女が1人でも、安心して子どもを産める社会にすること」なんですよ」

大賀「そうですね。社会国家論で語れば「女性が産めば産むほど、裕福になれて徳がある。そういう社会」は、どんな国家の国策にも勝ちますね。経済も戦争も、男性脳戦略の問題じゃなく、実は物凄くシンプルな問題として、「数」が全てですからね」

きよの「確かに、国家というものは、原理的に人口が増えないと衰退する一方ではありますが。女を大事にする国は結果的に栄えるでしょうけど、正直、私自身は国家の栄枯盛衰にはまったく興味がありません。大袈裟に言うならば、男たちが作り上げた現代の文明というものがいよいよ岐路に立っているということでしょう」

大賀「僕も実は男女論ではない角度から、左右の政治思想がどうこうというステージを越えて、人の社会って政治でどうこうする時代って終わるんじゃないかなって思ってます」

きよの「何日か前に、子どもの包括的な権利を定める「こども基本法」の法案すら、山谷えりこはじめ、自民の極右派に反対されて提出できないみたいなニュースがありました。そこでの理由が「マルクス主義者だらけになるから」ですって。バカじゃないかと思いましたよ。仰る通りで「人権」に、本来なら右も左もあったもんじゃないはずなんです」

大賀「率先して、フェミニストを叩いてる、萌え画を過剰に擁護し、公や企業とのタイアップでの露骨な性表現と思われる広告へのクレームや意見すら許さない、いわゆる「表現の自由の戦士」と言われる愛国者達は、憲法改憲主義者ですから、自由も平等も認めません。「全ては国益のため」けれども「表現の自由のためなら、死ぬまで戦う戦士」なんですよ。「なんだよそれ」って思うでしょう? 私も思うんです(笑)」

きよの「国益、国益って口うるさく主張するわりには、自分を持て囃してくれない現実の女が嫌いなのでしょう。かといって、男性一人じゃ子どもは産めないし、二次元の女性は都合のよい振る舞いや言葉はかけてくれるけど、子どもだけは絶対に産めないですからね。その直前の性欲的な問題までは、VR技術が進歩すれば望むものが手に入るんでしょうけれど、むしろそうなればそうなるほど、実在女性と接点を持つ必要がなくなり、出産率はさらに低下していくんだと思います」

大賀「例えば普通に結婚してたり、女性としっかり付き合ってる男性が「女性の傾向として、こういう部分は問題ではないのかよ」っていうのはアリだと思いますが、「三次元女なんて! やっぱり女性は二次元に限る」思想の男性が思い描いている「表現の自由」って「僕の大好きな萌えとエロティシズムを、崇高な自由の理念で守るんだ」以外の中身ってないですからね」

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事