飛行バルタン

実際に放映された、本話の特撮シーンにおける、バルタン星人が集団で飛行するシーンのバルタンは、実はこの時期に発売されていた、マルサンのバルタン星人ソフビ人形を、多少の改修と、全塗装で手を加えた物を使用していたらしい。

確かにDVDなどで映像を確認してみると、集団で飛行しているバルタンの、その頭でっかちなフォルムや小さいハサミなど、まさにあの、マルサンバルタンソフビそのままである。

だとすれば、筆者の再現特撮でも、そのマルサンバルタンを使えば、ほぼ同じブロップでシーンが再現できるではないかと、思い立ったのがはじまりであった。

かといって、放映当時のマルサンソフビなど、一体数万円以上もするお宝アイテムであったりする。

そんなものを手に入れて、あまつさえリペイントするなど、いろんな意味で怖くて出来るわけがない。

確かにマルサンバルタンは、そのまま金型がブルマァクに受け継がれて、そしてそのブルマァクバルタンは、90年代にバンダイB-CLUBが、復刻版として再販しているから、それを使えばいいとも思ったのだが、ブルマァクスタンダードサイズのソフビの大きさは、取り回しなどの使い勝手の問題から、操演用モデルには向いていない。

さてさて、どうするものかと思案していたところ、これだ!というアイテムにめぐり合った。

それはバンダイが、2001年から2003年にかけて販売展開した、ガシャポン玩具の「ブルマァク魂」であった。

これは往年のブルマァクの怪獣ソフビを、全くそのままにミニチュア化したガシャポンであって、当時バンダイは、同じコンセプトで往年の合金玩具をガシャポン化した、「カプセル超合金」「カプセルポピニカ」等を展開していた時期でもあり、そのブルマァクソフビ版ともいえるシリーズだったのである。

ブルマァク魂 ポスター

『ウルトラQ』(1966年)怪獣のガラモンやゴメスから始まって、最終的には『帰ってきたウルトラマン』(1971年)怪獣まで、3Dスキャナーもプリンターもない時代に、見事なまでに元の大きさの玩具と瓜二つに造形された「カプセルトイ」なのだが、その中にはもちろん、バルタン星人もラインナップされていた。

リペイント前の商品状態での、ブルマァク魂版バルタン星人

商品の形、シルエットは往年のブルマァクそのままで、大きさはガシャポンサイズ、価格は(ヤフオクでも)数百円とくれば、もはや、本物のマルサン時代のソフビよりも、撮影用としては完璧である。

迷うことなくこれを入手した筆者は、すぐさまリペイントに取り掛かった。

実は、この飛行バルタンに関しては、雑誌ハイパーホビーで、2007年に特集が組まれたという経緯があるらしい。

筆者は知らなかったのであるが、伝え聞いた情報によると、本話を監督した飯島敏宏氏が、この飛行バルタンに使用された、改修済みブロップのソフビを一体所有していらしたらしく、ハイパーホビーではそれを借りて、改修ポイント・塗装などを検証。

そこで撮影用に施された塗装を再現したブルマァク復刻版ソフビを、誌上で限定発売したという経緯があったらしい。

筆者は今回、ブルマァク魂版バルタンソフビをリペイントし終わるまで、その雑誌の特集を知らなかったわけであり、ペイントしたブルマァク魂バルタンを、某怪獣玩具SNSでお披露目したところ、そこでお付き合いのある某怪獣玩具ファンさんから、ハイパーホビーでの特集とその内容、そしてそこでUPされていた、通販用のリペイントバルタンの画像を見せてもらったのであるが、細部の塗装解釈(腰周りの黄色の有無や全体の基本カラーの解釈)が少し違っていただけで、だいたいの解釈の方向性は合っていたので、割と安心し、そのままブルマァク魂版リペイントソフビを撮影に使用した。

(上の画像は、その怪獣玩具SNSでお付き合いのある方に頂いた、ハイパーホビーで限定通販された、ブロップ版復刻ソフビの画像)

ある意味では、『光の国から愛をこめて』で使用しているどんな小道具よりも、半世紀以上前の放映作品内で使われた小道具に、近い存在のアイテムである。

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