初代HGガンダムから繋がったMG

ちなみに、今ではガンダム立体化の大前提基本フォーマットになってしまった、腰のアーマーの分割アイディアは、1990年3月発売の「HG 1/144 RX-78 ガンダム」が元祖。ちなみに、このHGガンダムは、1980年発売開始以来ガンプラの歴史の中で、初にして唯一の「完全絶版キット」として認定されている(理由は、「色分けのシステムインジェクションが金型に負荷をかけすぎて金型が壊れた」や「1/144ガンダムのベーシカルな『HGでガンダムのプラモデル』は、HGUC(今回紹介しているコレ)が、改めて役割を担うので、HGガンダムが残るといろいろ混乱と面倒しか招かない」等があると思われる)。
また、“成型色段階で、首がグレー”なのと“肩アーマーが、首の襟元のラインより盛り上がっているシルエット”が、公式のガンプラで導入され始めたのもここから。

また、腰アーマーのプレート分割に関しては、HGガンダムの組み立て説明書で、大河原邦男氏が描いたリファインデザインで、そこへのアプローチの片鱗が伺えるが、むしろそれをもっと明確にさせたのが、その組立て説明書でカトキハジメ氏が描いたイラストであり、そのアイディアをガンダムモデラーに鮮烈に刻み込んだのは、カトキ氏デザインでフルスクラッチされた『月刊モデルグラフィックス』1990年7月号に掲載された1/72スケールRX-78-2 ガンダムVer.Kaの作例であっただろう。

要するに、もうこの辺から段々ガンダム自体は、「アニメ設定に忠実に」立体化しても限界があるからという理由で、「その時代その時代の、フォーカスの解像度で、何度でも変化したガンダムが解釈可能だ」へと、“翔んで”みせたのだ。
そこでは「これはRX-78ガンダムじゃないけど、ガンダムと同じ時代に活躍していた、アニメの『機動戦士ガンダム』には登場しない別のガンダム」という設定の、『0080』のガンダムNT-1アレックスなどの存在も影響していて、やがてその流れはザクやドムのリファインにも繋がっていくことになる。その上で、『0080』ではあくまで当初、モビルスーツデザインを担当した出渕裕氏は「物は『ガンダム』の頃のモビルスーツと同じだが、アニメ技術の進歩を取り入れて、ディテールや解釈など、画の解像度を上げた」だけだったというスタンスであったが、バンダイはそれらを全て別個の機体として商品化した。

アムロ「う、う、う……」
ミライ「ホワイトベース速度ゼロ!」
ブライト「よーし、よくやってくれた、ミライ、ガンダム! ガンキャノン! ガンタンク、出撃用ー意! 対空砲開け!

それを、元の出渕裕氏の発想にあった「解像度を上げただけ」へ戻したのが、1990年の1/144 HGガンダムであり、また1995年から始まった、「1/100スケールで、最高級(マスターなグレード)のモビルスーツプラモデルを、高解像度リファインデザインで商品化する」というキャッチフレーズのマスターグレード(MG)でもあり、ここまで書いてきたガンダムのデザインの大きな変換は、概ねMGガンダムで固まっていて現在に至っている。

MGシリーズからHGUCへ

歴史は常に“今現在”が“結果”であり、未来は予測と想像の中にしかない。
1996年当時は、誰もがMGガンダムと、そしてすぐ後に発売されたMGザクの出来に衝撃を受け、その魅力に取りつかれ、そこで施されたデザインリファインを“正解”として受け止めた。
しかし、趣味人というのは、趣味の世界というのは、いつでも厳しいもので、MGガンダムとMGザクは、出戻りガンプラファンを一気に増やした分、評価もどんどん厳しくなっていって、隙間なく、そこへカトキ氏がリファインアレンジャーとしてMG開発に加わる流れが出てくる。

カトキ氏は、この時期特に『0083』『08』での、ジムやザクやグフのリファインで、ガンダムメカマニアからはカルトな人気を誇っており、特に『08』に登場したザクFⅡとグフカスタムは、メカマニアの絶大的な支持を受け、ザクFⅡは、近年になるまで、様々な『ガンダム』一年戦争舞台の漫画やアニメなどで、大元の大河原ザクがまるで無かったかのように、スタンダードなザクとして扱われ続けていた。
グフカスタムの方は、『08』OVA展開時に商品化されたHGガンプラの売り上げがとびぬけて高く、それはその時期、カトキ氏が既にMGでZガンダムのデザインリファインにメインで参加していた効果などもあって、一気に「二次元の嘘ゆえに、妥協するか諦めるしかなかった、モビルスーツのデザインや可動範囲に、新解釈を加えることで、現代的でフル可動可能なメカに変えてくれる神様的存在」へと、のし上がった。

そんなカトキ効果は絶大で、1998年までは年間4、5体ペース発売だったMGが、1999年には年間新商品が11体(カラーバリエーションや金型流用商品を含む)と、一気に新商品発売点数が倍増。
そして同時に、ガンプラはMGで止まらなくなってきていた「行き過ぎたアレンジと価格」を、せっかく増えた出戻りガンプラモデラーを離さないために、1/144スケールで改めて、「宇宙世紀ガンダムシリーズに登場したモビルスーツを、元のアニメデザインを最大限尊重しつつ、可動範囲確保のためのアレンジをしながらも、適度な価格で簡単に作れる商品枠」として、HGUCを生み出したのである。

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