それゆえか、ガンプラのギミック、素材的進化としては、ポリキャップ装備から、ボールジョイント至上主義の時代を通過して、一時期「ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン合成樹脂)」なる非プラスチック系の素材に可動や剛性を依存していた時期が、2000年代中頃にあったのだが。
この、ABSという素材が、全くプラモデル用の接着剤も塗料も受け付けず、むしろそれらを使用してしまうと、簡単に破損してしまうという難儀な代物。
それでもまだ、ABS樹脂が、関節やフレームなど、外からあまり見えない部分にだけ使われているうちは塗装派も諦めていたが、HGUCゲルググではABSが、関節部分だけではなく、ビームライフルやシールドなど、目立つ部分にまで存分に使われた挙句、クレームを恐れてか組み立て説明書には
ABS部分への塗装は破損する恐れがありますので、塗装はお勧めできません。
と、言い切られてしまっている。
さすがにこれでは“プラモデルとして”本末転倒であることにバンダイも気が付いたのか、やがてバンダイはガンプラ用新素材として、軟質性プラスチック「KPS」を導入。
ポリキャップもABSも不要な自在な関節可動を得られるとして、今現在のガンプラの最先端素材として脚光を浴びているが、リアルグレード(RG)版Zガンダム等は、その恩恵を100%活かし尽くそうと、1/144サイズで完全変形を目指してしまったがために、そのタイトすぎる設計に破損報告も多く、ガンプラの日進月歩はこの先も続いていきそうである。
以上、連載の7回を費やして、ガンプラを書評サイトで語り尽くしてしまったが(いや、書き足りないことは「オールガンダムプロジェクト」の件等、まだ山ほどあるが)、肝心なのは『ガンダム』というコンテンツは、監督や作品内容やテーマがどうであれ、この“ガンプラという存在”がビジネスとして、マネタイズで利益を大きく弾き出してくれなければ、コンテンツとして成り立たないという前提条件へのコンセンサスであり、ガンダムはどのようなビジネスラインを経て、40年近く経った今現在も、コンテンツビジネスの最先端で、ビッグバジェット扱いを受けているかが、決して作品の高尚なテーマゆえではなく、富野由悠季総監督をはじめとした、たゆまぬ「売れるガンプラ」への道程の蓄積と邁進で、成り立っているという部分が最重要であると、記しておくべきだと筆者が思ったからである。