正月といえば、ウルトラはお祭り編である。
当時のウルトラシリーズはお化け番組と言われていて、正月のテレビ番組特別編成の時期であっても、変わらずに通常放送されていた例も珍しくない。
例えば『ウルトラマン』(1966年)では、25話『怪彗星ツイフォン』がまさに元旦に放映されていて、その回は人気怪獣レッドキングが復活するばかりか、三大怪獣が画面狭しと暴れまくる、一大イベント作品であった。
『ウルトラセブン』(1967年)の本話も、そういう意味で企画された正月用娯楽編であり、前作『ウルトラマン』の『怪獣殿下』以来の前後編構成で、ペダン星人が操るスーパーロボットが暴れまくるという、スケールも予算も大きなイベント話であった。
また、当時ウルトラシリーズのメインスポンサーは「タケダタケダタケダ♪」のCMで耳馴染んでいたタケダ薬品だった。
このころのテレビ界は、一社独占提供の番組も少なくなく、だからこそ、テレビ黎明期の関西バラエティ『てなもんや三度笠』(1962年)などが、劇中で堂々と「あたり前田のクラッカー」などと前田製菓のお菓子の名前を決め台詞に使って流行語になったりしたのだ。
一社提供番組は他にも、文字通り東芝が提供した『東芝日曜劇場』(1956年~2002年)や(長寿アニメで有名な『サザエさん』も放映開始の1969年から1998年までは、東芝の一社提供だった)ロート製薬の『底抜け脱線ゲーム』(1963年)など、当時は珍しくなく、特に黎明期の子ども番組には一社提供が多く、『鉄腕アトム』(1963年)が明治製菓だったり、『鉄人28号』(1963年)が江崎グリコだったりと、製菓会社であったことが多い。
この辺りは、現代の子ども番組が、玩具会社の提供によって成り立っているのと、似て非なる構造を持っているので面白かったりする。
そういった意味も含めて、テレビ黎明期の頃からスポンサーの力は絶大であり、例えばウルトラシリーズにおいても「薬品で怪獣が発生する話は、薬品のイメージ自体を損なうのでNG」といった申し入れもあり、薬で巨大化・怪獣化してしまったモグラの恐怖を描いた、『ウルトラQ』(1966年)の『甘い蜜の恐怖』などは、かなりスポンサーからクレームが入ったらしいが、その一方で露骨なスポンサーサービスというのもあって、それが初期ウルトラシリーズ恒例だった「関西ロケ」であった。
これは、タケダ薬品の本社が関西にあったためで、ウルトラマンでは26・27話『怪獣殿下』で大阪ロケを行っており、ウルトラセブンではこの前後編で神戸ロケを敢行している。