右田昌万
神澤信一

「その夜。瀕死の重傷を負ったM78星雲人が、地球の引力にひきよせられ、落下した……」

「ウルトラ警備隊のフルハシ隊長は、地球環境の保護活動を続ける政府の諮問機関、地球環境保全委員会議に出席するため、富士山麓の地球防衛軍極東支部から急行した」

「地球環境の破壊が、今相当なスピードで進んでいます。炭素が酸素と結合しますと二酸化炭素、つまり炭酸ガスを生じますが、そうなると地球の周りを毛布で覆ってしまったようになるわけですな。こういうのを温室効果と呼んでおります」
「もっと地球環境に優しいエネルギー、例えば太陽エネルギーがそうですね」
「そういえば、宇宙の侵略者から地球を守ってくれたウルトラセブンも、エネルギーは太陽だったな……」

「太陽エネルギーは、二酸化炭素を放出しません。温暖化の心配や、汚染の心配がまったくない。クリーンで、地球環境に優しいエネルギーです。しかも無料で、誰でもどこでも、平等に利用することができます。この頂上の集熱板は、相当量の太陽エネルギーを吸収し、エネルギーに変換することができます。しかし、これ一基で一年間に供給できるのは、660万kw。日本中のありとあらゆるエネルギーを賄うには、ハイパーソーラーシステムが、12万基以上必要になってきます」
「集熱板の温度が異常に上昇しています!」
「原因は!?」
「全くわかりません!」

「博士! ここも危ない! 早く逃げてください!」
「太陽エネルギーはクリーンなエネルギーなんですよ! これは事故なんかじゃありませんよ!」

「俺のにらんだところでは、宇宙人の仕業だなァ。なんでまた宇宙人が……。宇宙人と太陽エネルギーか」

「カジ、極秘命令だ。第17支部格納庫へ急行する」
「ハイ!」

「フルハシ隊長とカジ隊員は、ウルトラホーク1号で、第17支部格納庫へ急行した」

「格納庫に横たわっているのは、かつて地球を宇宙の侵略者たちから命がけで守った、ウルトラセブンだった」

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