前回は「『シン・機動戦士ガンダム論!』第22回 スーパーロボットアニメとしてのガンダム・3」

我らがガンダムを倒すためにジオンが送り込んできた次なる最高幹部は?

『仮面ライダー』(1971年)風にいえば、新幹部、ランバ・ラルの登場である。
ガンダム、ガンタンク、ガンキャノンがトリオを組めば一般ジオンなど蹴散らせる、そしてシャアとガルマが退場するタイミングで登場した、ランバ・ラルと改良強化新型モビル・スーツ、グフ。
シャアやガルマが、それまでの(長浜忠夫監督路線をも踏まえた)女の子受けする、二枚目で若いライバル幹部だったとするならば、ランバ・ラルは、ホワイトベース側のレギュラーの登場人物の誰よりも大人で、懐も広く成熟した人間像で登場する。
一方では連邦軍の側も、こちらも大人の美女・マチルダ中尉が登場することで、敵味方双方ともに、「そもそも“戦争”は、大人同士がやりあっているのだ」を、グラウンドデザイン的に広がりを感じさせるタイミングの取り方は絶妙である。

その上で、新型モビル・スーツのグフ。
ここまでの、量産型ザクは、敵メカのベーシックラインで、シャア専用ザクは、あくまでザクをチューンナップしたうえで、シャアのパイロット適性の高さからの強敵描写だった。
それゆえ、ダイレクトに比較すれば、ザクとシャア専用ザクは、根本は同じ物であり、手にする武装もこれといった特別な違いは特にない。
ただ、ミリタリー兵器としての“らしさ”を意識した量産型ザクに対して、深紅(実際はピンクと赤茶色なのだが)をパーソナルカラーに変えただけで、あれだけキャラが起つというお手本でもあったのだが、今度のグフは「緑・赤」ときて、「青」であると同時に、敵としての特性がザクとは全く違うところが、初戦第12話『ジオンの脅威』から強調される。

パイロットA「一番機、四番機、も、もちません。先に行って下さい」
マチルダ「四番機にはガンダムのパワーアップメカが入っている! 編隊を着陸させなさい! ガンダムの、パワー・アップ・メカをすてるわけにはいきません!」
アムロ「ち、着陸したのか? まずいぞ」
マチルダ「い、急いで! Gメカを下せ! もう爆発するぞ! 対空砲火は気を抜くな! 敵のモビルスーツはまだ一機残っているんだ!」
マチルダ「Gファイターのエンジンのパワーをあげておけ! ガンダムに使わせる!」
兵士「しかし、いきなり使いこなせますか?」
マチルダ「アムロなら大丈夫です」

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