本作品が、かつてブログでUPされたのは2009年の正月。
ウルトラの新春を飾るのは、やはりこのエピソードしかないだろうと、一年越しでUPタイミングを計っていたのが本話であったりする(笑)
しかしいざ再現するとなると(これもいつもの愚痴だが)結構面倒だぞという話になった。
まずは、舞台となる雪原特撮。
雪景色の特撮は、本話だけではなく、『まぼろしの雪山』や『北へ還れ!』『零下140度の対決』『まぼろしの雪女』等々、ウルトラでは印象的なエピソードも多くて、ここらでそのノウハウを取得しなければいけないという必要性は、強く感じていた。
なので、まずはセット構築から考える。
雪山は新規に制作。
制作手法は緑山等と基本は同じで、発泡スチロールを切り出した山に、表面をセメントや石膏でコーティングしただけ。
土台は、板張りの土台に白い布を敷き詰めてみた。
昔読んだウルトラのムックに「『北へ還れ!』ではセットに、シッカロールを積もらせて撮影した」という一説があったので、なるほど、ならばとベビーパウダーを購入して雪を再現した。
撮影中は、ベビーパウダー独特の香りに、筆者のワンルームが包まれたことは言うまでもない(笑)
セット構築はなんとか出来上がった。しかし実はもっと大きな問題があった。
本話は本文評論でも書いたように『ウルトラマン』(1966年)新春を飾る、元旦放映の一大娯楽編として制作されたのに、実は本話で登場する怪獣は、厳密には一匹たりとも、バンダイの旧ウルトラ怪獣シリーズでは発売されていないのだ。
一応レッドキングとドラコは出ているものの、レッドキングは『怪獣無法地帯』のバージョンであるし、ドラコも後に『小さな英雄』で登場した、再生ドラコというバージョンでソフビが制作されており、羽根もないし手も角も造形が違う。
ギガスに至っては2013年以降刷新された新規バンダイウルトラ怪獣シリーズまでも、一度もソフビ化されたことがないので、とりあえず困り果てる事態となってしまった。
実は、ブログ版『光の国から愛をこめて』をはじめるよりも以前に、筆者はテスト撮影版などを、某画像掲示板にて掲載していたことがあったが、当事、ソフビではなくHGガシャポン『HGウルトラマン 21 ~魔の山へ飛べ編~』版の、ドラコ、ギガス、二代目レッドキングといったフィギュアを使って
この話を再現した写真を撮って、出来上がった画像をその掲示板にUPしたことがあった。
ウルトラマンと戦うのはレッドキングだけなので、レッドキングだけソフビがあれば、あとはHGガシャを使用すればいいのではないか?そう思ったのだ。
雪山セット撮影のテストも兼ねて作った画像がこれらである。
当事はかなりお手軽に考えていたのもあって、ウルトラマンはCタイプのウルトラ超合金のままで、レッドキングのソフビもリペイントはせずに初代のままである。
また、HGガシャはどうしてもサイズが小さく写るしかなく、怪獣三つ巴にはどうにも迫力が足りず、またウルトラマン対レッドキングの戦いとも違和感があるということで、掲示板ではなかなか不評に終わってしまった。
むしろ、そういった直球な反応や本音でリアクションしてもらえたということが、今の筆者の特撮クオリティを保たせてもらえている要因であって、そういう意味では、この時期の掲示板での住民の皆さんとの交流がもたらしてくれた物は大きく、今でも感謝しているのです。
さて、では特撮解説に移る。
まずは怪彗星ツイフォンの描写。
ツイフォン自体は、筆者が直接フォトショで描いた描画。
丸の内の夜のビル街上空を通過するカットでは、あえて紙ビルを使って合成。
ツイフォン去りし後に映える雪景色を見つめるハヤタは、ハイパーウルトラマンフィギュアを、雪山セットをバックに撮影したものを使用。
かつて撮影したHGガシャ版を、なんとか有効利用できないものかと思ってはいたので、ギガスがまず最初に登場するカットでは、HGガシャ版の画像を流用。
ビートル追撃を挟んで、ギガスはすぐにキングザウルス版へ変化するが、ドラコの飛来する初カットも、こちらはHGガシャポン版を使用した。
ビートルを追って飛行するドラコは、バンダイソフビカスタム版を使用。
その後雪原を舞台に、ドラコとギガスの死闘が演じられる。
一方、岩山からはレッドキングが登場。こちらは通常の岩山セットで撮影。
すぐにレッドキングは移動して、ギガス、ドラコと三つ巴の戦いに突入する。
ギガスはいつの間にか逃げ出すが、レッドキングがドラコの羽根をもぎ取るシーンでは、実際にカスタムパーツの羽根を取り外して撮影した。今度逃げ出すのはそのドラコ。ドラコはこのまま生死不明で登場しなくなるが、しばらく、ギガスとレッドキングの戦いを描写した後、ウルトラマンが登場する。
ウルトラマンとレッドキングの壮絶な戦いに挟まる形で、ビートルがギガスを追い詰める。
この俯瞰カットでは、ギガスはHGガシャ版を使用している。
乾燥爆弾で破壊されるギガスを経て、ウルトラマンとレッドキングの決戦が描かれる。
ストップ光線と八つ裂き光輪はフォトショ描画だが、ウルトラマンが掴んだレッドキングの首は、実際にソフビを切り刻んだ首を持たせている。
水爆を飲み込んだままのレッドキングの首を、天空に持ち去るウルトラマンで、物語は幕を閉じるのである。