動き出してしまった企画は止められない
そんなわけで、前回からの続きで、今回もまた『宇宙からのメッセージ』(1978年)の紹介になるのですが。 何も筆者は、この作品をただただ貶めてクサソウというわけではござりませぬ。なんつったって筆者は、この映画に当時メチャメチャハマりこんで、劇中に登場する、メインの戦闘機「リアベ号」のプラモデルも持っていた程の、生粋の『宇宙からのメッセージ』マニアでありますですよ。この、往年のバンダイ製「リアベ号」プラモデルは日本模型史に残るレベルの出来栄えで、当時既に米国でRevell Inc社が開発発売をしていた『スター・ウォーズ』のプラモデルに(日本ではタカラがRevell Incと契約して販売)追いつき、追い越せと言わんばかりに、細かいディティールや正確なプロポーション等、後のガンプラに繋がる技術力を蓄えることになった、名作プラモデルなのである(註・映画の評価には影響を与えない)。
また(既に概ねの読者の方が感づいておられると思うが)筆者の「千葉真一愛」は本物で、この、映画DVD800本コレクションしている男が「生涯で好きな映画を10本上げろ」と言われれば、迷うことなく千葉真一先生が主演とアクション監督を勤め上げた『戦国自衛隊』(1979年)をその10本の中に入れるだろうと、そういう趣味嗜好である(註・『戦国自衛隊』と『宇宙からのメッセージ』は別の映画である)。
まぁ、とにもかくにも『宇宙からのメッセージ』。原作に(東映とは「そういう」関係だったがゆえに)名前を貸してしまった石森章太郎も、義理感・義務感満載で漫画版を描いてるうちに、しかしだんだん嫌気が差してきて、パラレルワールド的な番外編の方に力がこもってしまったという『宇宙からのメッセージ』。
「宇宙任侠実録ヤクザ映画」に、SF的な権威を被せるアリバイのためだけに呼び出されて、一応原案に名前を連ねた、野田・日本SF文壇大元帥・昌宏氏が、その仕上がり具合に頭と胃を悩ませるも、どうしていいか分からずに、ただただ、余りにも酷い表現だったので、登場した宇宙船が故障したシーンでの「ヒューズが飛んだ」という台詞だけを、改修するにとどまってしまった結果、『日本沈没』で絶頂期だった小松左京氏に「お前を日本SF作家クラブから除名するぞ」と冗談交じりに言われてしまった映画『宇宙からのメッセージ』。
「宇宙暴走族」はともかく、それを追いかけるのが「暴走族を追いかけるのならば、そこはやっぱ警察官だろう」という、至極もっともな、しかし愉快に浅すぎる発想でパトカーみたいな宇宙船が登場してきて、そこに乗ってる小林稔侍はまさに、70年代の日本の警察の、白バイ警官の衣装に少し手を加えただけのありさま。その「光反射板付手袋」は、宇宙空間ではいったい何のために必要だったんだ『宇宙からのメッセージ』。