個と公・戦争と正義・琉球と大和
金城哲夫
円谷一
高野宏一
「地球は狙われている、今……。宇宙にただよう幾千の星から、恐るべき侵略の魔の手が……」
「ここは、宇宙のあらゆる侵略から地球を護るために組織された、地球防衛軍の秘密基地である。地下数十メートルに建設されたこの要塞には、科学の粋を集めた最高の設備があり、最新鋭の武器が装備されていた」
「そして、ウルトラ警備隊をはじめ300名の防衛隊員が、昼夜を徹して、鋭い監視の目を光らせていた」
「キリヤマ隊長、昨夜の人間消失事件は知っておるか。一つ、ウルトラ警備隊に骨を折ってもらうことになった。まったく奇怪というより他はないが、これは明らかに優秀な科学力を持つ何者かの仕業だ。我々5人の見解では、犯人を一応宇宙人と考えて、その線で捜査をしてみたらどうかということになった」
「え!? 宇宙人?」
「キリヤマ、アナタハソウ思イマセンカ。コノ事件ハ、現在ノ我々ノ科学デハ、想像モツカナイ魔術ガ使ワレテイル。コレハ宇宙人デナケレバデキナイ」
「そこで我が防衛軍のエースともいうべきウルトラ警備隊に、この事件を担当してもらうことになった」
「はい! わかりました!」
「ウルトラ警備隊! 全員集合せよ!」
「良く聞け、敵はついに、我々地球防衛軍に対して挑戦状を叩きつけてきた。たった今、パトロール中の防衛隊員二名が、自動車ごと消されたという報告が入ってきた。敵は既に我々の動きを知って、襲ったものと考えられる。フルハシとソガ、すぐ現場へ!」
「はっ!」
「貴方たちの命を助けてあげようと思って、さっきからここで待っていたんです。今ウルトラ警備隊が相手にしているのは、恐るべき宇宙人だ。奴等は地球を侵略するのに、数年前から実験用の人間の標本を集めていたんです。だが、いまや奴等は次の行動に移ろうとしている……なぜだと思いますか? 地球防衛軍、いや、貴方たちウルトラ警備隊が行動を始めたからです。どんな恐ろしい手段を使うかもしれません、気をつけてください」
「君は一体何者だ!?」
「ごらんの通りの風来坊です」
「名前は?」
「名前? そう、モロボシ・ダンとでもしておきましょう……危ない!」
「バリアのスイッチを押せ!」
「ソガより本部へ! 見えない宇宙船の攻撃を受け、フルハシとソガ負傷!」
「地球防衛軍の諸君に告ぐ。即座に武装解除して、我々クール星人に全面降伏せよ。人類なんて我々から見れば、昆虫のようなものだ。さぁすぐに答えるんだ。全面降伏に応じるか?」
「断る!」
「モロボシ・ダンの言ったとおりだ……」
「とうとう直接攻撃に出たか。このままいけば世界はあっという間に壊滅してしまうぞ」
「姿ガ見エナイ……手モ足モ出ナイナ……」
「隊長、京浜工業地帯が全滅です」
「次は東京だぞ……」
「そうだわ、ダン! あなたの地球が、ピンチに立たされているのよ! 何か敵を倒す方法はないの?」
「一つだけある。敵の宇宙船を見えるようにすることだ。あの宇宙船は、保護色を使って姿を隠しているんだ。特殊噴霧装置を使ってこちらで色を吹き付けてやれば、相手の正体が判る筈だ」
「ピンチに立たされた地球防衛軍は、キリヤマ隊長の進言に基づき、特殊噴霧装置作戦をとることになった」
「ついに、特殊噴霧装置は完成した。そして、モロボシ・ダンに対し臨時隊員の資格が与えられ、ウルトラ警備隊と共にウルトラホーク1号に搭乗することになった」