テレビ黎明期の「スピンオフ」
南川 竜
野長瀬三摩地
高野宏一
「木星開発用の原子爆弾を、宇宙ステーションへ輸送する任務をもって、基地を飛び立ったロケットは、事故の為太平洋上へ墜落した。そして、そのうちの一個は、日本海溝5000mの深海で爆発した。残る五個のうち、四個までは発見されたが、一個だけは未だに見つかっていない」
「船長! 右舷に白い光跡がっ!」
「原爆だ……うわぁああっ!」
「白い光跡!? 本当にそう言ったのか……? うぅん……実は今、アメリカ航路の旅客機から、海上に巨大な白い光跡を見たと言う報告が入った。巡視船沈没地点から100km日本本土寄りを北北東に向かって進んでいる」
「何者かが本土に接近中、ということですね」
「ハヤタ、ハヤタ! 哨戒機からの連絡では、大島南方2kmの地点で、白い光跡を見失ったらしい!」
「了解! こちらは予定通り、間島崎へ直行します」
「アラシ! 葉山マリーナ沖で白い光跡らしいものがあらわれた。ジェットビートルで急いで行ってくれ!」
「はい!」
「あ! 白い光跡を発見!」
「ラゴンだわ!」
「ハヤタ! 白い光跡の正体がわかった! ラゴンだ!」
「ハヤタ! ラゴンだ! しかも身長30mだ!」
「爆発した原爆の放射能で突然変異を起こしたとしか考えられん。しかもだ、ラゴンは身体に問題の原爆をぶら下げているんだ!」
「原爆!?」
「ちくしょう! 怪物を目の前にして攻撃できないなんて!」
「ラゴンを怒らせちゃいかん! アラシ! わかっているか? 何千万もの人間の運命がかかっているんだぞ!」
「あ! アラシさん!」
「キャップ! どうするんです! ウルトラマンさえ来てくれたらなぁ……。ウルトラマン! 来てくれ!」