ガンプラ! あの熱きガンダムブーム。あの時代を生きた男子であれば、誰もが胸高鳴り、玩具屋や文房具屋を探し求め走ったガンプラを、メカ単位での紹介をする大好評連載。

激戦の宇宙空間を割いて、迫りくるティターンズの最新可変式モビル・スーツ、ギャプラン!

私、市川大河が、書評サイトシミルボンで連載している、 『機動戦士ガンダムを読む!』での、 再現画像で使用しているガンプラを、 古い物から最新の物まで片っ端から紹介していこうというテーマのこの記事。
今回紹介するのは、『機動戦士Zガンダム』に登場した、ティターンズの可変型モビル・スーツ、ギャプランのHGUCキットです。

ギャプラン 1/144 HGUC 042 2003年11月 2200円(機動戦士Zガンダム)

巨大なブースターを装着したモビル・アーマー形態を背景に、迫力ある雄姿のギャプランのボックスアート

HGUCシリーズも4年目を越えて、そろそろ本格的にシリーズが「かつて放映当時に1/144キットが発売されたモビル・スーツキットのリメイク」がメインストリームになりつつあった。
ガンダム、ザク、ガンダムMK-Ⅱ、ガンダムGP-03 ステイメン、ゼータガンダム等々、どれも既存の旧キットをしっかり乗り越えた傑作キットとして再生された。

『Zガンダム』では、タカトク『超時空要塞マクロス』タカラ『トランスフォーマー』ブームに対抗する形で、飛行形態に変形する可変型モビル・スーツが次々に登場することになった。
実際の作品内で先陣を切ったのはシロッコのメッサーラであったが、HGUCで最初にキット化されたのは、今回紹介するギャプランであった。

完成したギャプラン、モビル・スーツ形態

デザイン論でいえば、メッサーラにも共通して言えることだが、メッサーラ、ギャプラン辺りから、『機動戦士ガンダム』(1979年)のメカニックとの共通性は「モノアイ」と「パイプ」ぐらいしか残らなくなっていて、そういう意味での「新たなモビル・スーツデザインの提示」「過去のデザインセオリーに縛られない新展開」の両立は上手く完遂させられた。
もっともこの時期以降は「これのどこがモビル・スーツなんだ」と、頭の固いファンからは叱られるほどの突飛なデザインが百花繚乱することになるが、それも富野監督とバンダイの計算だったとしたら感服するばかりである。

再現画像より。この「光るモノアイ」が「ガンダムのモビル・スーツ」のアイデンティティ

そして可変型モビル・スーツが主流になると共に、人型を微妙に崩した奇形のようなシルエットの機体デザインが多くなっていくが、もとよりモビル・スーツは生物ではなくメカであり、機能性、実用性をアリバイにすれば、どんな異形の姿をしていても兵器として問題はないというエクスキューズは、逆にデザインの単一化、先細りを回避して、その後40年続くガンダムビジネスの礎となったとも言える。

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