上半身のコスモバルカン

塗装をしなかった理由は、商品詳細の文章にもあったが、「プラパーツ:ABS」という商品仕様の問題。
後で考えれば見分けはつくのだが、当初はどのパーツ(ランナー)がプラで、どれがABSか分からなかったため、危険度が高い「ABSパーツに塗装」を避けるため、一切の塗装を放棄したのである。

前方から見たコスモバルカン
コスモバルカンのリアビュー

「往年のスーパーロボット」を「フルカラー色分け」で「プラとABS」でとこれだけ聞くと、ベストメカコレクションならぬ、悪夢のメカニックコレクションを思い出してしまう。

『ガンプラり歩き旅』その65 ~番外編 ゆけ! ゆけ! 勇者! ライディーン!~

おそらく、歴代バンダイロボットプラモの、ワースト5には入るだろう、メカニックコレクション勇者ライディーン。
ABSの関節が役立たずで、ポーズを付けることすらままならない、あの悪夢が脳裏をよぎる。
もう、それぐらいABSパーツにはトラウマが残っているのだが、今回は果たしてどうであろうか?
とりあえず、コスモとブルを組んでみる。
組んでみた手応えは悪くない。ABSパーツもしっかりはまっている。

この三角形がダイナミックにパネル展開して上半身
地味な底面もパネル展開することで劇的変化

コスモに関しては、シール補完を鑑みてなお、その色分けの優秀さには驚かされる。
このロボの変形の醍醐味である、コスモのパネル展開ギミックも当然再現されているが、コスモ状態だとパネル部分(機体底面)が、ボディカバーの上面と巧く合わさらず、そこだけがストレスといったところだろうか。

モチーフが、なにがなんだか分からないブルバルカン

ブルに関しては。
いきなり文章がネタっぽくなってしまうが、これは放映当時からの永遠の謎なのだが、歴代戦隊ロボ……というか、アニメも含めてバンダイ村上天皇メカは数知れず多岐にわたっているが、唯一この「ブルバルカン」だけは「そもそも、何をモチーフにしているのか」が、理解できない、把握しきれないのだ。
いや「空のコスモバルカン」との対比で「陸のブルバルカン」というのは分かる。ブルバルカンの「ブル」が、ブルドーザーのブルからきているであろうことは、申し訳程度に装備されたブルドーザーシャベルとキャタピラからも分かる。

正面から見たブルバルカン
ブルバルカンのサイドビュー

しかし、それでもなお「直立不動で、上空高くそびえたった、直立不動のブルドーザーなどおらん」という常識を考えた時、言われてみれば雰囲気で騙されていたが、上空から降ろされている2本のクレーンチェーンはなんなのだろうとか、しかもその先にマジックハンドかよ、とか。

謎が謎を呼ぶ、ブルバルカンのリアビュー

一説には、このブルバルカンを、ある種ざっくりとおおらかな規模で「建築中のビルディングそのもの」であると解すれば、頂点からのびた、そのクレーンチェーンも、建築現場アルアルなので納得しそうになるが……。実際は、ブルバルカン唯一の変形の、脛カバーのスライドが「シルエットを少し変える」以外、ブルドーザーどころか建築中のビルにも見えないので、もはや既に「なんだかわからない要塞みたいな代物」としか形用のしようがないのだ。
「そういう意味」ではかつて村上天皇がやはり実写巨大特撮ロボとしてデザインした『大鉄人17』(1977年)の主人公ロボ17の、変形した「要塞型」にも通じる物があるのかもしれない(アレも、飛行形態のウィングを畳んだだけの「別形態というにはたいがいなバリエーションアリバイ」だったが(笑))

謎のクレーンチェーン
ブルドーザーっぽさが唯一のシャベル

まぁ「何にも見えない、そびえ立つ四角い巨大なメカ」が「クレーンアームからチェーンクローを振り回し」ながら「キャタピラで疾走して」くれば、そりゃ怖いわっていう、人間の生理の根幹を突き刺すテーゼのような(ハイ、言いすぎです)。

しかし、このキット、そんな無駄にさえ見えるディテールの数々や色分けを、馬鹿丁寧に全部再現したというスゴ物件なのである。ブルバルカン時、斜めに傾いて射角をとってるミサイルハッチ(オタク失格だが、大河さん今回レビューを書くためにいろいろ調べていて、初めて脛外側の謎パーツがミサイルハッチだと知りました)も可動するし、足首先端のシャベル部分もしっかり展開可動する。

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