ウィンダム

ウィンダム セブン版 1983年

リペイントを施した、1983年版ウィンダム
リペイント後のサイドビュー
リペイント後のリアビュー

『ウルトラセブン』のカプセル怪獣のうち、ウィンダムとミクラスは、ウルトラ怪獣シリーズが発売展開された第一弾で共にラインナップに入った。
上でも書いたが、初期のウルトラ怪獣シリーズ造形の傾向として「直前期のキングザウルスシリーズよりは、少し大きめでリアル志向」「シリーズの半分近くの造形が、直立不動型棒立ち造形で、宇宙人等人間型キャラだけではなく、怪獣型でも、その傾向が見られる」があげられる。
後述するミクラスも、このウィンダムもその例に漏れず、初期バンダイシリーズの良い点悪い点が両方バランスよく入っている造形である。

『ウルトラセブン』に登場したウィンダムの着ぐるみ

まず、基本的な造形は、2020年代の今の目で見ても、レベルはかなり高い。嵌着可動は(上半身と下半身は接着されているので)事実上は両腕が肩で振り回せるだけだが、複雑な頭部のディテールも正確だし、四肢のテクスチュアとしての「成田亨ジャバラ」も、実は数的にも正しかったりする。これ、実際にリペで「穴を黒く塗装する」作業で気付いたが、「肘関節は5節目で曲がる」辺りまで全て正確。キングザウルスから5年弱で、ここまでリアルに進化しているのは驚愕に値する。

次は塗装チェック。
今回手に入れたウィンダムがいつ頃のバージョンなのかは知ることが出来ないが、初期バージョンが、シルバー成型色に、メタリックグリーンで腹部や膝などにスプレーが吹かれていたのは知っている。今回手にしたのは、成型色はグレーだが、ボディ前面にシルバーが吹かれており、後は目(?)に黒目がポイント塗装されている他は、なぜか赤が鶏冠に軽くスプレーされている商品。

塗装前の商品状態
商品状態サイドビュー
商品状態リアビュー


もともとウィンダム自体が、ほぼシルバー一色のキャラなので、これはかなり着ぐるみに近く(それでも頭部の赤スプレーは謎だが、他に何をどこにスプレーしても違和感は隠せない)、ソフビ素材が完全な軟質であることを考慮してみると、90年代後半から、2000年代で『ウルトラマンメビウス』で新規造形が発売されるまでの間の再販分ではないかと思われる。

セブン登場時のウィンダム

なので、商品状態だけでも、メビウス版に張り合えは出来ないが、30年差は感じさせるほどではない。
元々ウィンダムが、放映作品ではロボット怪獣だったので、棒立ちでもあまり違和感を覚えさせないからかもしれない。ただ、頭の大きさや手のひらの大きさ等、元の着ぐるみの特徴は、そこはポージングも含めてメビウス版の方が総合的に「ウィンダムっぽい」と言えるだろう。
この「30年前の佳作ソフビ」を、メビウス版に拮抗させようと、まずは全身をシルバーでくるみ吹き。材質の違いを表現するべく、頭部は光沢、首から下は艶消しでスプレー。
商品版では黒く、メビウス版では(光ってる表現なのか)黄色だった瞳は、実は小さな電飾が入ってるだけなので、両目を白で塗装。頭部ランプと耳脇を、キャラクターレッドで塗装。後は、全身の穴を黒く塗装して、ボディの皺に墨入れで完成。
繰り返しになるが、時代的なリアリズム論の問題があったとはいえ、これで手首と頭部が一回り大きく造形されていれば、メビウス版要らずになったに違いないポテンシャルを持っている佳作である。

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