日本人のDNAに在るかもしれない、永遠の謎を解く鍵
藤川桂介
円谷 一
「岩本博士、これが問題のミイラですか」
「7000年も経ったミイラにしては、原型をよく留めている。あの洞窟にその秘密があるのか、あるいはミイラ自体に何か隠された謎があるのか。とにかく興味ある結果が得られそうだよ」
「7000年の謎を秘めたミイラは、ひとまず科学センターの一室に安置されることになった。我が科学特捜隊もガードマンとして同行した」
「これが7000年も前の、人間の姿か……」
「その夜、世にも恐ろしい事件が起ころうとは、岩本博士も科学特捜隊も想像だにしなかった」
「ひゃ! うわ……だ…誰か! うわああ!」
「7000年前の謎を解く、貴重な研究資料として科学センターに運ばれたミイラは、その夜突然息を吹き返し、そのままどこかへ行方をくらませてしまった」
「我々科学特捜隊は、ただちに調査を開始します!」
「博士、さっそくですが……」
「死んでるミイラがなぜ生き返ったかでしょう? 結論からいうと、あのミイラは生きていたんだよ。死にながら生きていたと訂正しようか、一種の冬眠状態にあったわけだ」
「できるだけミイラは生け捕るように。生け捕れば、7000年の生命を保ち続けた謎も解ける。それを忘れないでくれ」
「手の施しようがない……。生け捕りは諦めよう、アラシ、スパイダーだ!」
「はい!」
「お前を発掘さえしなかったら、まだまだ眠りについていられたのに……」
「こいつはきっと住処へ還ろうとしていたんですよ」