児童向け雑誌グラビアを飾ったバルジオン

やはり今回の商品化については「戦隊で初の、敵ロボのセミレギュラー」「往年の出渕デザインロボの金字塔」「バイオマンを集中して商品化する時に、SUPER SHODOシリーズのシルバと共にセットで商品にするべきだった」といった要素が絡み合ったというのがあるだろうが、ここで誰もが最初に気になったのは、そのキットとしてのコンセプトであろう。劇中着ぐるみ準拠で行くのか。それとも出渕デザイン準拠のアニメロボ路線で行くのか。フル可動は大前提だとしても、誰もが「そこ」は、商品化情報を聞いた時に気になったところだろう。
特に、スーパーミニプラシリーズの戦隊ロボは、合体用ミニチュアに、フルアクション可動を仕込む独特のスタイルを確立させているだけになおさらだった。

スーパーミニプラ バルジオン完成品

はたしてバンダイの決断は「徹底的にバルジオンのデザインを、アニメロボ的出渕デザインで着ぐるみを因数分解して、アニメロボキットの方程式で再構築する」という方向性へ潔く突き進んでおり、キットを見る限り、これの立体的モチーフ元が着ぐるみであったことさえ、知らない人には想像もつかないレベルの出来で、しっかりガンプラ的に設計が落とし込まれている。一方で「着ぐるみバルジオンを着ぐるみのニュアンスで立体化」は、第三メーカーの超人怪人工房というレーベルから、ソフビで既に商品化されていたので、ここは差別化と共に良い選択肢であったといえるだろう。

半塗装状態のランナー状態

しかし材質。
このシリーズ。バイオロボもそうなのだが、開き直ったかのように、プラスチック素材を混入することなく、凄まじいまでにオールABSなのだ。ラッカー、エナメル、水性の全ての種類の塗装を受け付けないABS! 接着をさせない、できない、ABS! 割れるABS! 摩耗するABS! かつてバンダイプラモデルにおいて、ガンプラHGUCのゲルググやアッガイHGUCガブスレイ、メカニックコレクションライディーンなどで、キャラプラモユーザーを何度も地獄へ叩き落してきたABS「のみ」で、このキットは構成されているのだ。

なので、バイオロボもサンバルカンロボもそうなのだが、筆者はバンダイの「はめ込むだけで完成するガンプラ」の黎明期のポロリ地獄を知っているので、スナップキットを殆ど信用せずに、必要だと思ったところは今でも(ガンダムのアンテナなど)接着してしまう人なのだが、オールABSではそれすらも封印されて、かなり困った状態からキットを組む羽目になった。
そこはバンダイもわかっているのだろう。シール補完では追い付かないバルジオンの細かい塗り分けは、予めのランナー状態塗装で、かなりのところまで既に塗装され切っている。

バルジオンのシール

その上でも、マスク塗装で追い付かない部分に関しては、シール補完で完成させているが、頭部の赤などはどうしてもシールの皺が回避不能なため、ここはマスク塗装して欲しかったところ。素材は紙シールだが、一度貼るとまず剥がれない素材だけに定着性は安心。逆に貼る時は細心の注意で位置決めを推奨する。

バルジオン フロントビュー

まさに「デザインそのままにアニメロボ化させた」バランスのバルジオンのプロポーション。特に肩パーツと肩アーマーの接続や、腰回り、足首回りに、その「逆拘り」が感じられる。

サイドビュー

正面からは想像できないほどに、意外と薄いバルジオンのサイドビュー。着ぐるみでは形状の把握が難しかったシールドの面構成等もしっかり再現。シール補完多めだが、反バイオ同盟のマーキングもしっかり再現。膝関節や足首関節は、完全にアニメロボの基準で構造が連結している。

リアビュー

淡白な背中のタンク2つも逆に印象深いが、腰、膝、肘、足首関節を後ろから見ることで、デザインアレンジの方向性が明確に伝わってくる。

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