ヒドラ(操演用)

空を飛行するシーンでのヒドラは、バンダイが展開していたHGガシャポンシリーズの「HGウルトラマン パート36 ~光の国から来た戦士編~」でラインナップされた、ヒドラをそのまま撮影に使用している。

安価なハイクオリティアイテムとして、マニアから子どもにまで広く親しまれてきた、バンダイのHGガシャポンシリーズであるが、この時期バンダイは、『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』に関して、コンプリート計画という形で、全話に登場する怪獣や宇宙人を、商品化完走させようと頑張っていた(註:あくまで目標は全話であり全怪獣・宇宙人ではない)。

それはやがてHGシリーズ終盤の「コンプリートスペシャル」によって完遂し、シリーズは、さらなるクオリティを目指したHG.COREシリーズへと継続されたわけだが、しかしそんなバンダイも、まさかこの時期になって、世界規模の原油高が、自社商品を直撃するとは予想も出来なかったようである。

結果として、HGシリーズはCOREに移行してしばらく経ったころからは、その原油高や中国事情の煽りを受ける形で、商品使用や塗装の面でコスト削減が求められ、結果そういった事情を配慮できない、口さがないユーザーからは罵倒されるようになってしまい、ほどなくシリーズは消え去ってしまった。

「いまどきの若い者は」なんてことを言い出したら、老化の始まりであると自戒しながらも、それでも思うのは、筆者の若いころのカプセル玩具が、未塗装・ディフォルメが基本の怪獣消しゴムが中心だったことを思い出せば、今のコレクターが求めているレベルが、既に尋常ではないだけではないのか?という素朴な疑問。。

こういったベンダー・プライズ系の商品・チープトイというのは、90年代末期の、海洋堂・フルタ製菓によるチョコエッグがブームを牽引したせいで、業界全体が(食玩バブルの恩恵を受けながらも)かなり無理を続けた経緯がある。

今回の原油高・中国事情を所以にした、そういったチープトイ全体の質低下は、それがある程度の揺り返しを伴って、落ち着くべき地点に戻ったと見る方が自然だろうし、実際、それでもまだまだ、チョコエッグショックが発生する前のクオリティと比較すれば、全ての面で、現在の商品仕様の方が、勝っているとは簡単に言い切れる。

むしろバブル絶頂期の方が「何を出しても売れる」や「乗り遅れるな」また「今のうちになんだっていいから出しておけ」というような狂騒状態に、市場全体が巻き込まれていた感も強く、この時期の食玩やチープトイの中には、「造形クオリティも塗装レベルも最高だが、一体これを誰がどんな目的で企画して、誰に向けて売ろうとしたのか解らない商品」も少なくなかった。

そんな状況下で、HGガシャポンや名鑑シリーズなどは堅実な戦いを繰り広げた方であり、バブルから数十年経って、そして石油高・中国バブル事情が襲い来たことを鑑みたときには、HG.COREの状消え方にも、あまり文句は言えないというのが、筆者の偽らざる心境だったりする。

さきほど「今の若い者は」と書きかけたが、ネットなどで現状に対して辛らつな意見を書き込む人が、実は全て若い人でもなかったりする。

中には、そういった経緯を踏まえるべき「チョコエッグ以前」どころか、「怪獣消しゴム世代」であるにも関わらず、とりあえず今目の前にある商品の、欠点ばかりを論って「批評」したがる人も少なくない。

事情を受け入れて、なんでもかんでも寛容になるばかりが大人でもないだろうが、「企業が300円で売る商品に、300円以上のコストなどかけられるはずもない」レベルの、社会の常識すら前提に出来ていない批評などというのは、文字通り「大人げない」としか言えない気がするのは、筆者だけであろうか?

今回撮影に使用したヒドラは、バブルが崩壊する前の商品とあって、あくまで塗装は成形色を前提としながらも、堅実な出来上がりを誇っている。

バンダイソフビとは違って、プロポーションも正確だしディティールも細かい。

パーツ分割も上手く考えられていて、細かいパーツの抜けも良い。

本来ならこのHGガシャポンでは、シークレット扱いとして、まさにそのまま「飛行形態ヒドラ」もあったらしいと聞くが、筆者がこのシリーズを集めだしたのが、2008年であったため、残念にもそのアイテムとは出会えずじまいで、今回はこちらを使用した。

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