ガンプラブームの数字的真実

ここまでで、1980年に始まったガンプラブームのざっくりした総括を行ってみた。
しかし、手元に資料として、当時バンダイがエンドユーザー向けに頒布していた冊子『模型情報』1988年5月号があるが、そこにあるガンプラ累計売上データによると、面白いことがいくつか分かってくる(先に断っておくが、どちらのデータが正確なのかは判断しかねるが、以下に記す出荷順位や売り上げ数などは、2009年に双葉社から発行された『ガンプラの常識 第一次ガンダムブーム編』での記述とはいろいろ異なっている。あくまでバンダイの『模型情報』準拠の記述になる)。

ちなみに、この1988年の時点で、ガンプラシリーズ開始7年間、最初の『機動戦士ガンダム』プラモデルだけで、99種類、465億円分のガンプラが出荷されていた計算になる。

ここでの統計を、1/144と1/100で区分けして見てみると、如何にザクやドムが人気を得ていたとはいえ、やはり一番の売り上げを誇ったのは、どちらのスケールでも主役のガンダムであったという“動かない事実”が見えてくる。
しかも、ガンダムの売り上げ販売数は、1/144ガンダムは585万個で売り上げは17.5億円、一方1/100ガンダムは306万個で売り上げは21.4億円。出荷数では1/144の方が高いが、売り上げで比較すると、1988年時点で一番の売り上げを誇ったガンプラは、マニアやモデラーからは「玩具っぽすぎる」と揶揄されていた、1/100ガンダムであったことがこれではっきりした。

ちなみに、ガンダム以外で一番人気を誇ったシャア専用ザクは、1/144では実は304万個で4位と意外と売り上げは低く、1/144の2位はグフの406万個、続いてジムの337万個となっており、この順位からは、やはり『ガンダム』は「ロボット漫画」であり、商品ブームの底辺は、ヒーローや“正義の味方(連邦軍)側”や“子どもに判りやすい武器を持った強敵”などの、児童層が好むデザインや造形が好まれていたことが分かる。

ちなみに、1/100での2位はガンキャノンと、これまた主役メカ側の機体であるが、販売数171万個と、1位のガンダムにダブルスコア近い差を開けられており、3位のドムは160万個であるが、こちらはキットの出来の良さと、1/144より高価格帯というのもあり、1/100のユーザーの方が思春期モデラー率が高いというのが分析できるだろう。

過度なブームが去り氏後、熟成していくガンプラという文化が向かった道の行く末は?
次回「『シン・機動戦士ガンダム論!』第12回『ガンプラを語り尽くせ!・4』」
君は、生き延びることができるか?

(フィギュア再現画像特殊効果協力 K2アートラクション)

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