他項でも書いたが、ULTRA-ACTは最初から最後まで「劇中の着ぐるみ造形の再現」「マッチョ体型のアメコミスタイル造形」が入り乱れ、混在し、そんな中で好きなウルトラマンがどちらの作風で発売されるかファンは、一喜一憂するしかなく、セブンの場合もVer.1の時は「可動範囲が広いとは言い切れないしO脚だが、マスク造形やプロポーションは、最初の本放映着ぐるみに似せて作られている」と評価されていた。

1967年のセブンにはあった「肩甲骨の電池ボックス」がないセブン。この話のセブンも同じ

しかし、3年後にリニューアルされたVer.2は、体型は、上半身がマッチョ型で、下半身は足長で胴が短いヒーロープロポーション(上半身が8.1cm、下半身が8.5㎝)のアレンジや、「腕と脚長すぎ」「胴細すぎ」「太股細すぎ」が、元となったセブンの着ぐるみのイメージとは遠くかけ離れていた。特に目立つ違和感として言えるのは、頭部の複雑な構造がことごとく昭和主役時とは全く似ても似つかず、むしろハイコンセプトシリーズと呼ばれた映画作品に登場した、平成着ぐるみのウルトラセブンに似せて作られているということだ。
平成の商品なのだから平成の着ぐるみに似せること自体は何も問題はないが、「『ウルトラセブン』のウルトラセブンに似せない、ウルトラセブンのフィギュア」と書くと、言葉遊びのように聞こえるレベルで、実際問題、商品画像をネットで見た時は、当初はこれを買う気はさらさらなかった。
理由としては筆者の側に、平成セブンがゲスト出演する21世紀ウルトラを再現特撮する予定が全くないということと、1967年の『ウルトラセブン』で再現しきれなかった作品を、改めて追加で新規製作する時でも、既存のウルトラ超合金やアクションヒーロー、そしてULTRA-ACTのウルトラセブンのVer.1を手に入れたので、それらを使う事で充分だという認識があったからだ。

リアルといえばリアルな顔だが、主役時のセブンより、釣り目で寄り目が目立つ似てなさ

けれども。
この「誰もが知ってるウルトラセブンなのだけれども、主役の時のウルトラセブンには見えない」という一点のみを逆利用して、「本編以外で後の作品に出てきたウルトラセブン」に見立てる事も出来ると、この商品の我が遊びにおける「最高の使い道」を思いついた。

さて、そんなULTRA-ACTのウルトラセブンVer.2だが、巷でまとめられた長所と短所をざざっと書き記しておきたい。
そもそもVer.1時点での総合的な欠点は「アイスラッガーが外れやすい」「足が素立ちだとO脚になる」が重要ポイントであったが、一方でVer.2にも、筆者が拘る「顔が似てない」以外に「エメリウム光線のエフェクトがない」が騒がれたらしく、あと、両方のVerに共通している問題点が「最初の主役時スーツの肩甲骨の部分にあった電池ボックス収納ディテールがない」が挙げられている。

改良点としては、Ver.1では軟質パーツで再現していたプロテクターを、Ver.2では「通常形態」と「歪んだ形態」の2種類を付け替えることで再現。しかし、歪め方が「腕を前に伸ばす時」限定前提で成形されているため、それ以外の、例えばアイスラッガーを発しようと後頭部に両手を添えるポーズなどはムリになっている。
プロポーションは、上半身よりも下半身が長いマッチョなのは上記したが、腕と太ももの細さも違和感に繋がった。長さをそのままにしたいのならウデと太ももをもっと太くすべきではなかっただろうか?
また、ネットの一部好事家に言わせると、このVer.2の「顔の似てなさ」「肩甲骨の電池ボックスのない平坦な背中」は、まさにこの『太陽エネルギー作戦』での着ぐるみに酷似しているという意見もあるので、今回の再現にはベストの選択なのかもしれない。

撮影に当たっては、作中の着ぐるみに従って、元は白かった、頭部の凹部とプロテクターの凹部を、共に金色に塗り替えて使用している。

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