前回は「『シン・機動戦士ガンダム論!』第12回『ガンプラを語り尽くせ!・4』」
今回は、近年から現代までのガンプラを追って語っていくことになる。
3種のガンプラメインストリーム
歴史が常に地続きであるように、ガンプラの歴史も、分断がありつつも常に原因と結果が重なり合って現在を築いてきた。
現状、2022年では、主なガンプラには3つの系譜がある。
一つは『ガンダム Gのレコンギスタ』(2014年)『ガンプラビルドファイターズ』(2013年)のガンプラのように、現役のガンダムシリーズのアニメに登場したモビルスーツを1/144スケールでプラモデル化する「HG路線」である。ガンプラという“商品ジャンル”が動脈硬化を起こさないためには、このジャンルは常に活性化させておく必要性がバンダイにはある。
二つ目は、マスターグレード(MASTER GRADE以下・MG)と呼ばれるシリーズ。
過去作品に登場したモビルスーツを、デザインをリファインなどさせながら、1/100統一スケールで、究極のガンプラを目指して1995年にスタートしたシリーズである。
MGの「究極」というコンセプトは、さらなる大型1/60のパーフェクトグレード(PG)の登場や、1/144のHGの登場などにより定義が崩れたが、現状のガンプラのクオリティやデザインリファイン概念の基礎を作ったシリーズでもあり、存在意義は大きい。
三つめは、ハイグレード・ユニバーサルセンチュリー(HIGH GRADE UNIVERSAL CENTURY以下・HGUC)なるシリーズで、主に宇宙世紀を舞台にした過去作品に登場したモビルスーツを、1/144スケールでリファイン発売するカテゴリである。
やはりガンプラといえば一番メジャーな市場は1/144なのかもしれず、現在でも新商品開発や売り上げでは、ガンプラの中でもメインストリームとして機能している。
他にも、マイナーメカを高価格帯でビジネスラインに乗せる、ガレージキット的立ち位置のEXモデルやU.C.ハードグラフや、1/144で技術の限界まで挑む、究極(なんかさっきからこの修飾語ばかりだが、バンダイがそう謡うのだから仕方がない)を実現したとされている、リアルグレード(RG)など、幾つか他種もあるが、今回はざっくり、現行ガンプラを3種に分けて、当初の『機動戦士ガンダム(以下『ガンダム』)』(1979年)のモビルスーツもメインで商品化され続けている、MGとHGUCに特化して言及してみたい。