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『謎の円盤UFO』のシャドージャイロ

これを見て、ピンとくる人は多いだろうし、今回の記事の主旨を知っていれば、二重の意味でピンと来る人も少なくないかもしれない。
この、二つの大きなローターを有するメカは、日本では1970年に放映されたアンダーソン作品『謎の円盤UFO』(原題:UFO)に登場する、シャドーという組織のメカ、シャドージャイロである。

さて、お次に見ていただくは、1971年『帰ってきたウルトラマン』に登場したMATジャイロである。

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MATジャイロの現代のフィギュア
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MATジャイロ活躍シーンの再現

うん。ネーミングからして、既に隠す気が毛頭ない辺りが素敵である(笑)
デザインもほぼそのまま、多少武骨にして輸送機能性をアピールした程度なのだ。
ここまでは、言い訳も何も出来ないレベルの話ばかり書いてきたが「似せた覚えはないと言われればそれまでだが、似てるでしょうと比較画像を見せられれば、似ているように見えてくる現象」を少し追いかけてみたい。

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バンダイ インターセプタ― プラモデル箱絵

こちらは先ほどの『謎の円盤UFO』に登場した、戦闘機インターセプターだが、これの垂直尾翼から機首までの曲線をそのままなぞると、こちらの

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『ウルトラマンタロウ』ZATのコンドル1号の“それ”と、酷似しているという意見「も」ある。
また、アンダーソン作品の名作には、1967年に「ポスト・サンダーバード」の呼び声高く制作され、日本でも1968年に放映された『キャプテン・スカーレット』(原題:Captain Scarlet and The Mysterons)という作品がある。

こちらのメカ群も、姿や形やギミックを変えて、ウルトラシリーズのあちこちで、似たようなパーツやフォルムをチラホラ見かけることになるのである。
まずはこちら。

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『キャプテン・スカーレット 』の ZERO-X

作品内ではZERO-Xと呼ばれたメカだが、これのボディだけ思い切って太くしてみました、みたいなメカが、『ウルトラマンレオ』のMACメカに存在する。

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マッキー1号プラモデル
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マッキー1号 の活躍再現

それがこの、マッキー1号なのであるが、この組織、いきなり1号と銘打った機体からしてコレなものだから、2号だって俄然あやしくなるというもの。
今度は先に、そのMACのマッキー2号から紹介しよう。

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マッキー2号のフィギュア

まぁこんな感じのメカなのだが、二種用意した右側は、別に壊してしまったジャンクではない。
劇中で本当に、こういう分離をして飛んでみせるのだ。
それがマッキー2号という戦闘機の特徴なのだ。

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マッキー2号の活躍再現

もはや、空力抵抗とか航空力学とかを求めてはいけないレベルのデザインセンスである。
ところが、ここに、『キャプテン・スカーレット』主役戦闘機のエンジェルインターセプターというメカの画像を持ってくるとどうなるかというと。

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『キャプテン・スカーレット』主役戦闘機のエンジェルインターセプター

ご覧のように、まさに「やべぇスパルタンなウィングと合体しちまったぜ」みたいに、ぴったり機体部分が一致してしまうのである。
機首部分のカナード翼の印象が双方で酷似していて、これもまぁ「限りなく黒に近い灰色」といえなくもない。

しかし、ことエンジェルインターセプターに関しては、ウルトラはさらに後に、もっと明確に「やっちまった」事例が待っていたのである。
第二期ウルトラブームも去り、やってきました80年代。
装いもスタッフもデザイナーも新たに、心機一転開始した『ウルトラマン80』(1980年)
そこでの防衛隊UGMのメインメカは、玩具会社ポピーの偉い人(この人について語りだすとまた長くなるので割愛)がやったのである意味間違いはないんだけど(逆な意味では間違いだらけなんだけど割愛)、地球防衛軍側で、「その他大勢」で出てくる戦闘機。
第二期ウルトラであれば、適当にファントムとかで済ませていた「味方のやられ役」を、こともあろうにそれっぽく、プラモデルかなんかのF/A-18 レガシーホーネット(当時最新鋭の米軍の戦闘機)をカスタムして、架空の戦闘機をでっち上げたんだけど、その「でっち上げる方向性」が、こともあろうに「徹底的にエンジェルインターセプターに寄せる」角度で暴走してしまった(笑)

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『ウルトラマン80』防衛隊戦闘機の活躍再現

画像は、大河さんが『ウルトラマン80』再現用にでっちあげたミニプラモの画像なんだけど、この時点で「真っ白な機体色」「機首のカナード翼」「ホーネットでは2枚だった垂直尾翼を、わざわざ1枚に変更」「水平尾翼がない」等と、似せる気満々。
しかも、大河さんは面倒だからカスタムしなかったんだけど、エンジェルインターセプターで特徴的だった「両翼デルタ翼の端が、ガルウィングのように下に向かって折り曲げられている」も、実際の劇中のミニチュアでは「やってしまって」いる。

なんだろう。まぁネタはここまでなんですけど。
大河さん、業界内立ち位置的にも経歴的にも寿命的にも、これらに関してあーだこーだ言いませんよ。
それこそね、国内だけの怪獣だけで言っても「いや、この作品のこの怪獣、あの怪獣をパクっただろ」って、山ほどありましたからね。っていうか、同じデザイナーじゃねぇかとかね。

それに、じゃあ日本の特撮や円谷は、そこまで腐ってるのか、って言われたら。
一時期のSFブームの影響は、日本でもアニメ、特撮問わずに模倣の嵐でしたし、それこそ『スターウォーズ』(原題:StarWars 1977年)のライトセーバーだって、アニメへ行けばビームサーベルで、特撮へ行けばレーザーブレードでしたからね。

それは富野監督アニメにも顕著で、『伝説巨神イデオン』のギル・バウの方がよほどインターセプターに似てるし、『機動戦士ガンダム』に出てくるボールは『2001年宇宙の旅』(原題:2001: A Space Odyssey 1968年)のポッドまんまだし、ムサイ艦だって誰もが指摘するように、『宇宙大作戦』(Star Trek 1966年)のエンタープライズをまんま逆さにしただけだし、等々。

健全……と言ってよいのか悪いのかは迷うけれども、大事なのは「作品の核」であり、そこさえ喪失しなければ、ディテールへのオマージュはあってもいいと思うのですよ。その大事な「核」すらないエヴァは……おっと、本日はこの辺で時間が来ましたようで。
この連載では、またこういう、ネタ的なこともやっていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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