地球人が未来へ向かうときに、常に向き合うべき存在・バルタン星人

千束北男
飯島敏宏
高野宏一

「人類最初の金星探検を目指して、宇宙ロケットおおとりの発射準備が進められている。宇宙飛行士として乗り込むのは、ロケットの開発者・宇宙開発研究所の毛利博士、彼自身である」

「ようし! 成功だ!」

「岩本先生、一言でどうぞ」

「立派です、負けました」

「成功率99%のロケットに、自分で乗り込んで宇宙へ飛び出した毛利博士と、例え競争に負けたと言われても、100%完全なロケットを作り出すまでじっと我慢している岩本博士。科学者として、はたしてどっちが、勇気ある正しい生き方だろうね」

「124875回路だ! フジ君! ただちに僕の作った、パンスペースインタープリターに繋いでくれたまれ!」

「パン……スペ……なんだいそりゃ?」

「仮に、そう……全宇宙語の翻訳装置とでも申し上げておきましょう。よぅし、鬼が出るか蛇がでるか! それ!」

「バルタン星人!」

「バルタン星人はウルトラマンに、宇宙船をやっつけられたはずだが」

「我々は、ウルトラマンのために宇宙船を爆破され、その上、光波バリアを張り巡らす暇もなく、スペシウム光線を浴びせられたために、ほとんど全滅してしまった」

「生き残ったやつもいたのか」

「光波バリアってなんだ?」

「あらゆる光波・熱戦を跳ね返す幕なんだ」

「そうして我々は、ようやくわれらバルタンの住める星・R惑星にたどり着くことができた。だが我々は、あくまで地球を諦めない決意だ。我々は全人類に挑戦する!」

「キャップ! 宇宙開発基地から! おおとりがSOSを発信したそうです!」

「ちきしょう! バルタンめ! おおとりに手を出しやがったな!」

「かなりな冒険だが……ビートル。ビートルにこのロケットエンジンを装備するんだ。ビートルを設計したのはこの私だ。ビートルの性能に関しては、誰よりも自信を持っている。ムラマツ君、僕を信じてもらいましょう」

「信じましょう」

「科特隊のビートルは、大気圏外でも充分に活動できるように、水爆の原理を応用した、ハイドロジェネレードロケットエンジンが装備され、いよいよおおとりの救助に出発することになった」

「マルス133。かなりな威力を発揮するやつです」

「バルタンがおおとりを襲った目的はここにあった。おおとりを救助に行く科特隊の留守を狙って、別の一隊が地球を占領しようというのである。が、バルタンの狙いはもう一つ……」

「ウルトラマンが一人だということさ! だから同時に二箇所で戦闘開始すれば手も足も出まい! ウルトラマンなど恐れることはない。スペシウム光線を撃ってきたら、今度はスペルゲン反射光の餌食にしてやれ!」

「科特隊、宇宙へ出撃だ、発進!」

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