確かにMIAシリーズも、素材も細かいディテールやマスク塗装向きとはいえず、完成品もバラツキがあったが、なによりアメトイ基準であることと、コストが安いまま、それまでの「組み立て」「塗装」という段階を踏まなくても、手早く容易くガンダムのフルアクションフィギュアがコレクションできるというのは、これはやはり一つのターニングポイントになったと思われる。
加えてMIAシリーズは、そのコストの安さから、比較的ガンプラでは出しにくいとされているアイテムを商品化しやすく、特にアメリカでコンテンツ人気が高かった『機動武闘伝Gガンダム』(1994年)のガンダム群等は、ネーデルガンダムからマーメイドガンダムまで、殆どの登場ガンダムが商品化されるなど、一時期の勢いはまさにガンプラをしのぐ勢いであった。

異形で奇形なバウンド・ドック、モビル・スーツ形態

しかし一方で、やはりメインはアメトイとしての海外主力商品であったため、国内発売されるのは一部だけであったり、一部の商品は個人輸入をしないと手に入らないアイテムもあったり、商品スケールが明確にされてないため、スケールコレクションに向いていないという点などが、コレクターを「選んで」しまう商品であったことは否めない。
ギャロップやガンペリー等、大型アイテムでこのシリーズでしかリアルタイプを見かけないアイテムまで商品化されたが、一方で商品クオリティ(特に初期のモビル・スーツの塗装)に不安定さがあったり、アクションフィギュアとしても保持力や機構に練りこみ不足があったりと、こちらもやはり好事家を選ぶ要素として、ガンプラを越える主力商品には成りえなかったという結果を生んだ。

それはやはり、PVCとABSという素材の限界から来ているのだろう。特にPVCは、人間キャラクターや怪獣をフィギュア化する時には最適な素材になることも多いが、こと(特にアニメの)メカを再現する時は、エッジのシャープさもあまり期待できず、特に初期はモールドが埋まってしまった物も少なくなかった。
しかし「ガンダム初の本格的完成品アクションフィギュア」ということと「メインターゲットが海外なので、国内での売り上げにあまり一喜一憂せずに大胆な商品展開が企画できる」ことが吉となり、商品点数は関連シリーズなどを含めると、300種類以上という膨大なコレクションシリーズに成長した。

再現画像より。ビーム・サーベルを振るうロザミアのバウンド・ドック

その後、中国工場フィギュアバブルが崩壊し、しかし日本のオタク市場が、既に「ハイエンド完成品、塗装済みアクションフィギュア」を求め続けていることに呼応して、まずはミニフィギュアバブルを起こした海洋堂から「リボルテック」シリーズが2006年5月からスタート。同じく元はガレージキットメーカーだったマックスファクトリーが、アニメキャラクターの塗装済みフルアクションフィギュアの、2018年現在でもトップランナーである「figma」シリーズを2008年2月から開始。
ほぼ同時期にバンダイは、自社が版権を持つ仮面ライダーやプリキュア等の完成品アクションフィギュアシリーズ「S.H.Figuarts」を立ち上げ、そこから半年で、MIAの後継商品カテゴリとなる、ガンダムなどのロボットをプラスチックやABS等、よりガンプラに近い素材で、かつ完成品で塗装済みの究極仕様で展開する「ROBOT魂」も2008年10月から開始することになった。
ここまでが、いささか端折りすぎではあるが、MIAからROBOT魂へのコンテンツの推移と成り立ちの流れである。

再現画像より、ゲーツの機体は劇中ではモビル・アーマー形態でしか登場しない

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