かといって、バウンド・ドックは『Zガンダム』全体を再現する上でも存在が重要なメカでもあり出番も多く、またロザミア以外でも、シリーズクライマックスに、いきなりジェリドがニュータイプでもないのにこの機体に乗って登場し、あっさりゼータガンダムに撃墜された挙句「カミーユ! 貴様は俺の……」という謎のダイイングメッセージを残したという印象強い機体。
一方でMIA版バウンド・ドックは、MIAシリーズでも最後半の2006年の商品だけあって、ディテールの情報量や造形が、ゴム人形臭さを払拭しており、逆に素材を活かして変形も可能。
関節の保持力や維持力に不安が強いが、撮影の瞬間、瞬間さえなんとかポーズが決まれば、見栄えも悪くないし、スケールの差も、どうせガンプラとはフォトショで合成しあうので実物の大きさの問題はないと判断。他に目ぼしいアイテムも一切見当たらないので、今回は特別にMIA版を用いることにした。
「ガンプラの連載でなぜMIAを」という声もあるかもしれないが、「テレビゲームが、プレステでもサターンでも、なんでも『ファミコン』と呼んでしまうお母さん」じゃないが、視界を広く持てば、MIAもある種ガンプラの派生商品であるとも言える。
ハイコンプロMS in ポケット等、歴代のバンダイはガンプラの派生から新規商品枠を創造してきた歴史の一角ではあると思うので、今回はこの商品を紹介する次第。

各関節の可動範囲

シルエット、プロポーションが劇中と設定のよいとこ取りであることは、三面写真でご理解いただけたと思うが、この時期のMIAは可動にも拘っていて、肩、肘、股関節、膝、足首などはHGUC並みに可動する。特に右手のクロー等は、この形状でビーム・サーベルを掴むことも出来、4枚のクローが全て独立可動するように完成されている。
首や腰、膝裏のパイプも、軟質部品である利点を活かして可動の邪魔をせず、フレームはABSで構成されているので温度差にも強いというメリット。
しかし「ABSを信用してはいけない」は、この連載で大河さんが何回も書いてきたとおりであり、このMIA版でも、見事に「関節が保持出来ない」特色を発揮。
腰アーマー後部のウェイトが厳しすぎて自立も難しいという、「ポーズさえ決まればカッコいいのに」というピーキーなフィギュアに仕上がってしまった(だからガンプラ化されないといえばそれまで)。

MIA版バウンド・ドックの頭部アップ

頭部は、変形で一番ネックとなる耳が軟質素材だが、その他のモールド等はシャープに造形されている。今にして思えばこの頭部の「モノアイ」と、ボディ各所のパイプがなかったらモビル・スーツにすら見えない。
この頭部も、黄色い三角を目だと思ってモノアイスリットの黒を口だと思うと、ほぼ『マジンガーZ』(1972年)の機械獣だよなぁ(笑)

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