『機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編』と『GUNDAM CENTURY』
劇場版2作目の公開直後の1981年8月には、『月刊OUT』のみのり書房から伝説のガンダムムック『GUNDAM CENTURY RENEWAL VERSION―宇宙翔ける戦士達』が発行される。
このムックは、アニメの副読本であることを極力排除した装丁や、アニメ画稿を殆ど一切使用しない構成で、その内容は、『ガンダム』の人間ドラマ部分以外の、SF設定やメカニックの構造学などの解析、解説、新説等で占められており、『ガンダム』制作時にSF設定で協力した、スタジオぬえの松崎健一氏をはじめとして、宮武一貴氏、河森正治氏、加藤直之氏など、ぬえのメンバーが中心となって考案解析した「ミノフスキー物理学」や「AMBACシステム」「エネルギーCAP」「Iフィールド」等をはじめとした様々な『ガンダム』世界のSF的科学考証や用語は、その後30年以上続く宇宙世紀ガンダム作品において、重要かつ不可避な根幹設定として本書で生み出された物が多い。
アニメ本編の全記録としては『機動戦士ガンダム 記録全集』『ロマンアルバム エクストラ 機動戦士ガンダム』が、総監督のディレクションと制作態勢を追いかけるドキュメンタリズムに関しては『アニメック 機動戦士ガンダム大事典』が、アニメで描き切れなかった人間ドラマとしては、富野由悠季小説版『機動戦士ガンダム』が、プラモデルブームムックとしては『HOW TO BUILD GUNDAM』が、SF考証的な側面は『GUNDAM CENTURY』が、それぞれ究極のクオリティで、書籍として出そろった。
これらを今の時代に「読む」ことで、ガンダムの時代は追体験できるのである。
そして、今挙げた多くの書籍・ムックのほとんどが、今の時代になっても復刊、復刻版発売がなされていて、比較的容易に手に入る物も多いというのも、どれだけ「ガンダムブーム」が、直前の「ヤマトブーム」や、後発の「エヴァブーム」よりも、普遍性が高い社会現象だったのかが良く分かる。