ブログ版やCD版とは異なり、平成作品も手掛けることとなった『光の国から愛をこめて』。
作品数としてはそれほど平成作品は多くはないが、異色作が多いので、各作品ごとのカラーを巧く出していかなければいけない。
その中で、結果的に『平成ウルトラセブン』のスタートとなった本作の再現だが「アクションや殺陣は最新風で。着ぐるみは『あの時代のチープさ』で」というアンバランスを目指すのになかなか難しさと楽しさがあった。
まず、主役のウルトラセブンだが、発表順ではこの話が初となる「ULTRA-ACTが主役を演じる再現特撮」となった。
後述するが、ULTRA-ACTは筆者がブログを閉じた後から、バンダイで展開が始まった商品でもあり、その作風も、着ぐるみ再現やアメコミ風マッチョテイストなど定まらないので、使用を躊躇していたが、『光の国から愛をこめて』というライフワークも15年を超えるようになった昨今、過去のウルトラ超合金では発売されてないヒーローや、発売されていても破損した場合などを考慮すると、ラインナップをそろえておくに越したことはなく、なので今回を皮切りに、今後はたまにぽろっと主役ウルトラヒーローの再現で登場活躍していくだろうという宣言をさせていただいておく。
実際に今回80枚以上のボリュームで再現特撮を行って、それの主役としてULTRA-ACTセブンを使ってみたが、ぶっちゃけな感想から言うと「往年のウルトラ超合金と比較した時、期待したほど劇的には、演出に変化は起きなかった」というのが本音だろうか。
逆を言えば、昔と同じ感覚で演出が可能であり、その上で微調整が利くとなれば、確かに有利な一面はあるだろう。
そこは今後も同じテンションで、ULTRA-ACTやS.H.Figuartsを取り入れていってみたい。
また、ある意味で、本話の特撮ビジュアル面での「真の主役」は「そーらーえねるぎーのすごいパラボラアンテナ」であることは事前に分かっていた。
「再現特撮でパラボラアンテナを」は、2007年に再現特撮で『ウルトラセブン』(1967年)を始めた頃からの課題であり、当時はNゲージのストラクチュアにもガレージキットにも、そんな酔狂な立体物商品はなかったので、天文学サイトで配布していたペーパークラフトで代用したものだった。
現代は3Dスキャナーと3Dプリンターがあるので、どんな酔狂な立体物も、意外とガレキよりもスムースに個人で頒布できる時代がやってきた。
その中にkino-artsというレーベルがあって、鉄塔やフェンスなど鉄道模型的小物、しかもトラス構造の骨組み系を規模は小さいが発売していて、そこがなんとパラボラアンテナを、鉄骨製と鏡面製の2種類を販売していたのだった。
セブンの地球防衛軍アンテナの画像差し替えや、他での流用を考えると鉄骨製がベターだが、本話に限って使うなら鏡面製でないと都合が悪い。それに、過去の作品の新規アイテム差し替えに迂闊に手を出すと、無間地獄が続いてしまうことになるので(笑)今回は鏡面製パラボラアンテナを注文し、組み立ててメインメカとして演出に使用した。
あと登場するウルトラホーク1号は、再現特撮では懐かしい、ハイパーウルトラメカ版を引っ張り出してきて撮影。
エレキングのソフビと、ULTRA-ACTのセブンの戦いは、殺陣の派手さを強調しつつ、セブンが技を出すたびに芸の無いバストショットになるコンテを再現。
『湖のひみつ』では「エメリウム光線で角を破壊」からの「アイスラッガーで全身切断」だったクライマックスコンボが、今回は「アイスラッガーが尻尾を破壊」からの(切断ではなかったのは、既に自主規制の範疇だったからか?)「エメリウム光線でとどめ」に変わった流れを再現。せっかくのセブン復活なのだから、3種の技を全部出したかったのか、その後の「円盤をワイドショットで撃墜する」も、多分『ウルトラ警備隊西へ』終幕へのオマージュの意味もあったのだろうが再現してある(円盤の立体物は用意できなかったが)。
また、各光線の色味が、どの時代のセブンの過去作とも違っているのは、意図的な狙いなのか、単に「何でもありで決めていない」だけなのかは筆者には分からない。
しかし、トータル。85枚のボリュームで『太陽エネルギー作戦』の再現特撮は完了した。